【山陽・Ｇ１令和グラチャン】中村杏亮がついにＧⅠ初制覇

　山陽オートのＧ１第４回令和グランドチャンピオンカップは最終日の１６日、最終１２Ｒで優勝戦を行い、中村杏亮（２７）＝飯塚＝が５周回目で先頭に立ち、そのまま１着ゴール。ＧⅡは２度の優勝歴があるが、ＧⅠは初めて制した。最後はあと一歩まで詰め寄った佐藤貴也が２着。鐘ケ江将平が３着に食い込んだ。５日間の総売上額は１０億４９５万円余り（目標額１１億９５００万円）だった。

　Ｇ２はすでに２度制覇。いつＧ１タイトルに手が届いてもおかしくない男がついにやった。飯塚期待の中村が近況の勢いそのままに完勝。昨年は地元飯塚のＧ１戦２戦で優出を果たしたもののＶ逸。「今回は、その悔しさがあったから取れたと思う。最高です」。そう言うと顔をクシャクシャにして喜んだ。
　今節は絶対に勝ちたい理由があった。それは同じ整備仲間で、昨年に亡くなった重富大輔さんの命日が今節の初日だったから。その話題になると目を潤ませ、「ここに入る前から頑張っている姿を見せられたらいいなと思っていた。いつもそう思っているけど、今節は特別にそう思った」と亡き先輩選手に思いをはせた。
　そんな強い思いを好調なエンジンも下支え。「エンジンは前検からすごく良かった。そんな時はなかなかない。これで優勝できないとズルズルいきそう」。今節はめまぐるしく走路状態が変わったが、どんな走路にもきっちりと対応。最後の大一番でもエンジン力の違いを見せつけた。
　次は地元飯塚で行われるＳＧオールスターに参戦する。「優勝したあとが大事。場も変わるし、初心に戻って整備して優勝目指して頑張りたい」。亡き先輩への優勝報告は今回はしない。「Ｇ１優勝を報告してもまだまだ、と言われると思う。それはＳＧを制覇してから」。より強豪がそろう舞台での奮闘を誓った。（三島隆助）