ボートレースびわこ(滋賀県)のGⅡ「第8回レディースオールスター」が20日、開幕する。B1級以上の全女子選手から、ファン投票で選ばれた52人が出場。今年の女子特別戦線の幕開けともいえる一戦で勢いを得ようと闘志をぶつけ合う。びわこでは第2回大会(優勝=中村桃佳)以来6年ぶり2度目の開催。地元滋賀支部は遠藤エミと香川素子の2人体制で臨む。トップ選出は3年連続で守屋美穂(岡山)。以下、2~6位は平山智加(香川)、遠藤、高田ひかる(三重)、實森美祐(広島)、渡邉優美(福岡)で、この上位6人がそのままドリームメンバー。この大会は新年度から5月開催に移動。寒さが残る中での開催はこれで最後となる熱戦が、景観に優れた琵琶湖の一角で繰り広げられる。
戦歴上位の遠藤エミと香川素子の両者が、地元開催の一大祭典に誰よりも強く意気込む。
遠藤は言わずと知れた女子初のSGウイナー。2年前の3月、大村(長崎県)で開催されたクラシックを制して大快挙を達成した。そのまま年末のSGグランプリ(大村)にも女子初の出場を果たし、年間タイトルは3冠(優秀女子、記者大賞、特別賞)。2022年のその活躍ぶりは、昨年のボートレースCMのエピソードのモデルにもなったほどだった。
それを思うと23年は全く満足のいかない一年だった。昨年は夏にやっと最初のV。8月に津(三重県)で開催されたプレミアムGⅠレディースチャンピオンで挙げた。ホーム追い風が吹く中、セオリーとは逆の2コースツケマイで優勝という圧巻の内容だったにもかかわらず、喜びよりも、まだまだ頑張らないと、という気持ちが大いに表れた優勝会見が印象的だった。
昨年は年間タイトルとして、優秀女子を3年連続で受賞。しかし、2月に開催されたその表彰式でもやはり、「納得がいかない一年でした」という心情を吐露。反攻に懸ける今年への思いを存分に訴えた。
雪辱を懸けて臨む24年。女子特別戦線の幕開けが地元という巡り合わせは何よりのプラス材料だ。地元で通算143勝の実績はキャリアで断然上回る先輩も抑えて出場選手中トップ。地元のエースとして、他支部勢の攻勢を受けて立つ。
香川も特別戦ウイナーの肩書が輝く。22年8月、まるがめ(香川県)で開催されたレディースチャンピオンで優勝し、初のGⅠタイトルを手に入れた。決まり手こそ「恵まれ」だったが、節間はオール3連対の好成績。機力を抜群に仕上げ、一節を通じて絶妙のさばきを発揮したからこそ、優勝を手にできる位置にいたという事実に疑いはない。
びわこでは1着数こそ138回で遠藤に上をいかれているが、通算で6度のVは、4回の遠藤も抑えてメンバー中トップ。しかも、昨年12月末の参戦時には、今回のライバルでもある小野生奈らも下してVを挙げたばかり。遠藤との強力タッグで、第2回大会ではかなわなかった地元Vへと突き進む。
旧西スポの発行エリアの九州・山口からは全4支部から出場。当初の12人から内山七海(福岡)がけがで欠場とはなったが、それでも11人の大所帯。随一の強豪地区として戦線をリードする。
中でもその大多数を占めるのが9人エントリーの福岡支部。さらに言えば、そのうち5人がA1級というのは今大会最多人数。紛れもなく実力者ぞろいの強力布陣だ。
昨年の戦歴で一歩優勢なのが、大会4度目の出場で初めてドリームに名前を連ねた渡邉優美と、7度目の出場の常連・川野芽唯。ともに昨年末のクイーンズクライマックスに出場し、川野はファイナルまで進出(4着)。「詰めの甘い一年だった」と総括した一方で、最後の大一番でしぶといところを見せた。
渡邉はファイナル進出こそならずに順位決定戦回りだったが、その一戦を5コースまくりで制する圧巻のレースを披露。オールスター(5月、福岡県・芦屋)でのSG初出場に、10月にはダービー(愛知県・蒲郡)にも出場と、実りある一年を上々の形で終えた。ともに年末の大一番への出場は今年も当然の目標。序盤から稼げれば早々と道筋がつく。びわこではともにV経験もある実績水面だ。
昨年に産休から復帰のコンビ、小野生奈とA2の竹井奈美は、産休前と変わらぬ強さには恐れ入る。大会歴代覇者でもある小野は1月からの適用勝率が7点台で順当にA1復帰。びわこでは2度の優勝歴があり、「大好き」な水面。
竹井は出走回数不足でA1復帰こそならなかったが、こちらも適用勝率は7点台で、今期(昨年11月~)は7点台後半という猛烈なペースで稼ぎまくっている。ともに思い切りの良い随一の攻撃力は健在。力任せにねじ伏せるレースを見せてくれそうだ。
日高逸子は昨年11月末の大けがを乗り越えた。肺や顔などを痛め、年内は療養。しかし1月中旬にはもう復帰と、回復力の早さもまさにグレート。ファンを大切にする九州きっての人気者が、選出への感謝の気持ちも込めて、2度のV実績がある水面で奮闘を見せる。
残る一人のA1が魚谷香織。センター、アウトを苦にしないコース不問の攻撃力はびわこ水面にマッチ。びわこは初Vを挙げた思い出の水面でもある。テレビ出演経験も豊富で高い人気を誇るが、過去には産休などもあって大会出場は3度目と意外にも少ない。過去2度の出場はいずれも予選敗退。今回こそだ。
野田部宏子は1月に初のA級昇格。無類のスタート度胸が何よりの持ち味で、前期(昨年5~10月)がF2だったが、今期(昨年11月~)も既にF持ち。それでも、初めてつかんだ晴れ舞台とあれば簡単には引き下がれない。
福岡勢の残る1人はB1級の神里琴音。今大会唯一のティーンエージャー。まだ優出経験もないが勝率は期ごとにアップ。師匠・渡邉優美との同時参戦で、さらに飛躍を遂げるシリーズになる可能性は大いにある。
ほか3支部からは1人ずつが参戦。
山口支部は佐々木裕美。ずっと高い人気を誇り7年連続7度目の出場。ただ予選突破が一度もなく、昨年は白星発進ながら3日目に無念の負傷帰郷。随一の旋回力で、今回こそベスト18に名乗りを上げる。
佐賀支部は小芦るり華。昨年は初VやGⅠ初の予選突破など一回り成長した一年。4年連続4度目の出場の今回は、抜群の調整力と速攻力を存分に発揮して、優出までチャレンジしたい。
ボートレース発祥の地の長崎支部からは北村寧々が昨年に続いて2度目の出場。昨年は最終日の3着が最高成績。神里と同様、優出経験もないが、期ごとに勝率を伸ばしているのも神里と同様。今回は予選のうちに舟券に絡んで大いにアピールする。