【ボートレース】134期の郷土勢がいよいよデビュー/7日の若松から/九州・山口の新人4人を紹介
ボートレーサー養成所(福岡県柳川市)を3月22日に修了した134期の25人(男子16人、女子9人)が、5月1日から各地でデビュー戦に臨んでいる。九州・山口の郷土勢4人は、5月7日に初日を迎える若松ボートを皮切りに、23日の福岡ボート、26日の下関ボートで晴れの初舞台を迎える。希望を胸にプロの第一歩を踏み出す4人を紹介する。(河野 強)
■香月大輝 父のVに教師志望から転換
登番 | 名前 | 生年月日 | 2000年7月30日 |
5338 | 香月 大輝 | 年齢 | 23歳 |
カツキ ヒロキ | 支部 | 福岡支部 | |
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出身地 | 福岡県北九州市 | |
出身校 | 北筑高-長崎大卒業 | ||
身長 | 163.0cm | ||
体重 | 53.7kg | ||
血液型 | O型 | ||
リーグ戦 | 5.89(10位)3優出1V | ||
デビュー戦 | 若松 5月7~13日 |
教員志望から大転換だ。教育学部に進学し、教師への道を着々と歩んでいた香月大輝の心を大きく揺さぶり、別の進路へといざなったのは、他でもない、ボートレーサーである父・大介の雄姿だった。
2世として、もちろん憧れはあった。小学生時代、文集に書いた将来の夢は「ボートレーサーになりたい」。しかし身近な存在だったからこそ、物心が付く頃には、レーサーになる難しさやレーサーとしての厳しさも理解できるようになり、現実の進路として見据えたのが教員だった。
そして大学に進学。その2年の時だった。芦屋ボートに出走していた父・大介が、実に10年ぶりの優勝。久々の大きな歓喜に少年時代の夢が再燃したのだ。「やっぱり自分もレーサーになりたい」
そう決めると、養成所試験には一発合格。同期生の最年長として訓練を積む姿には、教官も「兄貴分として引っ張ってくれた」と目を細める。リーグ戦でも結果を残し、第3戦は3コースまくりでV。父譲りのパンチ力を見せた。
デビュー後に目指すのは5年以内のA1級昇格。「長年この業界を経験している父がいる。その経験や知識を可能な限り吸収したい」。新たな次の目標へ、同じ2世レーサーの齊藤廉とともに5月7日の若松でデビューする。
■原村百那 会社員から転身の元高校球児
登番 | 名前 | 生年月日 | 2001年11月29日 |
5342 | 原村 百那 | 年齢 | 22歳 |
ハラムラ モモナ | 支部 | 山口支部 | |
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出身地 | 山口県周南市 | |
出身校 | 折尾愛真高(福岡)卒業 | ||
身長 | 152.5cm | ||
体重 | 45.5kg | ||
血液型 | O型 | ||
リーグ戦 | 3.20(22位)0優出0V | ||
デビュー戦 | 下関 5月26~29日 |
転職先はボートレーサー。スポーツ万能で元球児の原村百那が、社会人3年目の転職活動の際に考えたのが、「両親が喜んでくれる職業に就きたい」。思い浮かんだのが、父が好きだったボートレースだった。
スポーツ経験は趣味も含めて空手、野球、サーフィン、ゴルフなど多岐にわたり、中でも野球は高校時代に女子硬式野球で全国ベスト8。運動神経には自信があった。
しかし、初めて挑戦した試験は不合格。「次で駄目だったら諦める」と臨んだ2回目で合格し、プロへの入り口に立った。合格通知が来たときは、うれしい気持ちと同時に厳しい世界への覚悟も持ったという。
それは、ボートレースの魅力をどう捉えるかについて語る一言にも集約されている。「厳しい訓練を乗り越えた訓練生だけがなれるプロの世界だということ」。実際、真冬の水面での転覆などつらい体験もしたが、「高校で寮生活の経験もあったので」と集団生活は苦にならず、苦労をともにした同期の仲間と晴れてデビューを迎える。
目標は同支部の女子レーサー清水愛海。スピードが自慢の清水のように「魅力ある旋回ができるようになりたい」。持ち前の身体能力を生かし、5月26日の下関でのデビュー戦から、思い描く将来像へと歩を進める。
■齊藤廉 憧れの父にレースで勝つ!
登番 | 名前 | 生年月日 | 2004年8月7日 |
5351 | 齊藤 廉 | 年齢 | 19歳 |
サイトウ レン | 支部 | 福岡支部 | |
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出身地 | 福岡県福岡市 | |
出身校 | 上智福岡高卒業 | ||
身長 | 167.3cm | ||
体重 | 52.7kg | ||
血液型 | A型 | ||
リーグ戦 | 6.19(8位)2優出0V | ||
デビュー戦 | 若松 5月7~13日 |
幼い頃から背中を見てきた憧れの父といよいよ同じ土俵に立つ。齊藤廉の父は、東京支部の主力レーサーで、結婚後に妻の地元の福岡へ引っ越した仁。同じ道を目指すことになったきっかけは、父が最高峰の舞台を走る姿を観戦したことだった。
2013年、小学4年の時だった。超一流が出場してボートレース界の頂点を決めるSGグランプリに父が初出場。目の前で観戦し、体に伝わるエンジン音の迫力、ものすごいスピードに感動を覚えたという。
そして「1/2成人式」では、「ボートレーサーを目指す」と両親の前で高らかに宣言。高校卒業前に合格をと焦りもあったが、わずか2回目の試験で合格した。
1年間の厳しい訓練生活での思い出は「みんなで声を出して一日中取り組んだエンジン始動のロープ引き」と訓練初期の苦労を振り返る。養成所では高勝率をマークして養成所チャンプ決定戦に6号艇で出場(4着)するなど、成績上位で訓練を終えた。
目標とする選手はもちろん父。「父のような選手になれるように繰り返し練習して技術を身に付けたい」と背中を追いかけ、「父に勝ちたい」。5月7日の若松で、同支部で同じく2世レーサーの香月大輝とともにデビューを迎える。
■増本杏珠 目指すは女子トップレーサー
登番 | 名前 | 生年月日 | 2005年9月4日 |
5358 | 増本 杏珠 | 年齢 | 18歳 |
マスモト アンジュ | 支部 | 福岡支部 | |
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出身地 | 福岡県豊前市 | |
出身校 | 中津東高(大分)休学 | ||
身長 | 159.0cm | ||
体重 | 48.8kg | ||
血液型 | AB型 | ||
リーグ戦 | 5.56(13位)1優出0V | ||
デビュー戦 | 福岡 5月23~28日 |
夢見た世界をすぐに現実のものにした。増本杏珠の選手志望のきっかけは、中学前半の頃に下関ボートで乗ったペアボート。ただ、すぐに選手になりたいと本人が強く望んでも、養成所の受験資格の中学卒業はまだ少し先のことで、いったん思い直すことになった。
再び決意を固めたのは高校2年の時。「スポーツに関わる仕事に就きたい」と、最初で最後のチャンスとの決心で受けた試験で一発合格。「未来が一気に広がった」と喜ぶと同時に「必ず卒業する」と心に誓い、1年間の訓練に突入した。
養成所の生活を振り返って「伸び悩んだ時期もあったけど教官が優しく指導してくれたことで、ここまで来ることができた」と感謝する。自らの性格を「負けず嫌い」と自己分析。その負けん気はリーグ戦の成績にも反映され、リーグ戦の勝率5.56は女子2位、3連対率60.6%は女子トップ。教官も「おとなしい印象だが操縦になるとアグレッシブ」と、プロ向きの資質を評価する。
養成所で最後のレースになった修了記念競走は「自分の力を信じて戦いたい」と臨んで2着。その勝負根性ならもちろん、それで満足いくわけがない。目指すは女子トップレーサー。5月23日に福岡でその第一歩を踏み出す。