ボートレース

【多摩川ボート・SGオールスター】定松勇樹 5000番台初&21世紀生まれ初のSG制覇

 多摩川ボートのSG「第51回ボートレースオールスター」は最終日の26日、最終12Rで優勝戦(1着賞金4200万円)があり、SG初の予選突破で初優出も決めた1号艇の定松勇樹(23)=佐賀=がイン逃げで完勝。SG初制覇を果たした。登録5000番台初、21世紀生まれとしても初のSGVになった。2着は3号艇の馬場貴也、3着は4号艇の森高一真。3連単は1530円の6番人気。6日間の総売上額は148億5624万2100円で、準優のFなどがありながらも目標額(145億円)をクリアした。

優勝カップを手に笑顔を見せる定松勇樹

■ヒーロー
 スターは一夜にして生まれるという。定松勇樹はこの1週間で間違いなくスターになった。出場3度目のSG。初の予選突破を得点率トップで決めると、準優も1着通過で優勝戦はV最短の1号艇。特別戦の優出経験すらなかった若武者が、このチャンスを一発でものにした。

 「ホッとしているという気持ちがものすごく大きい。一日がつらすぎたので・・・」。未経験の重圧と向き合いながら、押しつぶされることなく乗り切り、最大の歓喜を味わった。

 重圧の中で心の支えになったのは、準優と同じく師匠・峰竜太。「心がパンクしそうになったら『楽勝』って言えと言われて、待機行動中にヘルメットの中で言いました」。師匠が授けた“おまじない”の言葉が効果を発揮。

 加えて、好素性機のパワーを全て引き出したことで有利に戦いを進めることができた。「足に自信があったので、遅れないように起こして、あとはしっかり様子を見た。冷静に立ち回れた」。ヘコむことなく、事故とも無縁の12のタイミング。最もエンジンが出ている選手にこのレースをされては、2コース以下に出番が巡るはずはなかった。

 ボートレースファンだった父は、養成所入所の直前に病死した。「来る前にも遺影にあいさつしてきたので、(天国から)見ていてくれたならいいな」。そしてファンには「こんな僕に投票してくれて・・・。それがなければここにいない。感謝の気持ちでいっぱいです」と頭を下げた。

 この優勝で賞金2位へと大躍進。「グランプリ入りが見えてきた」。親思いで周囲への感謝の心を忘れず、誰にも愛される超新星は、年末にはさらに大きな星になる。(深堀慎一郎)

■プロフィル
 ◆定松勇樹(さだまつ・ゆうき)2001年5月2日生まれ。福岡県福岡市出身。博多工高中退。登録番号5121。19年11月デビューの125期。22年9月、下関ルーキーシリーズで初V。SGは23年5月の芦屋オールスターで初出場し、今年3月の戸田クラシックが2度目の出場だったが、いずれも予選敗退。一般戦も含めた全成績はこれで33優出10V。168センチ、52キロ、A型。

賞金目録を掲げる定松勇樹

 

優勝カップを掲げる定松勇樹

 

■戦い終わって
 馬場貴也(2着)定松君があっぱれ。完敗。(レースも)あれ(外マイ追走)が精いっぱい。でも、ペラ調整で足が良くなっていて、優勝戦が一番いい感触だった。
 森高一真(3着)優勝戦が一番良かった。コーナーの足が良くてレースのしやすさがあった。定松は(出すぎていてはるか前方で)見えなかった。
 毒島 誠(4着)仕上がりも良かったし、自分がやれることは精いっぱいやれた。風を考えて、前付けしても不利になると思った。
 瓜生正義(5着)定松君には届かなかったかもしれないが、3着は取りたかった。ハンドルを切った瞬間に(差しが)入らないと思ったし、悔しいというよりも技量不足。
 宮地元輝(6着)足は良くなっていたが1Mは狭かった。馬場さんの引き波にはまった。自分としてはよくやったと思うが、サダ(定松)とワンツーがしたかった。

優勝戦の1周2Mを先頭で回る定松勇樹

 

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