【福岡(サマータイム)西スポ杯】郷原章平 福岡通算10V達成
福岡ボートの「西日本スポーツ杯」(優勝賞金77万円)は最終日の21日、12Rで優勝戦を争い、1号艇の郷原章平(41)=福岡=が人気に応えてイン逃げで快勝。2着は対抗人気を集めた2号艇赤坂俊輔、3着は3号艇山ノ内雅人で、2連単、3連単ともに人気サイドでの決着に終わった。郷原はこれが通算28回目、今年は2回目のVで、福岡は通算10回目のVとなった。
『らしさ』があふれる快勝劇だ。圧倒的な1番人気に推された郷原は、その期待に応えるようにインからコンマ09のトップSを発動。2コースの赤坂に差しを許しかけたが、「やられたと思ったけど、調整が合って準優よりさらに回っての押しが良くなっていた」と上向かせたパワーで赤坂をねじ伏せると後はひとり旅。S力と整備力という自らの武器を存分に押し出して勝利をつかみ取った。
20代後半から30代前半にかけては飛ぶ鳥を落とす勢いだったが、近年は低迷。特に前期(昨年5~10月)は勝率5.58と、A1キープどころかB1に陥落する寸前で、これでもかと辛酸をなめた。「自分にブレーキがかかっていた。何をやってもうまくいかなくて、どん底だった」
しかし、そんな状況でも、心は一切折れなかった。「ここで腐ったら全てが終わる。絶対に腐ったらダメだと自分に言い聞かせた」。復活への強い思いに加えて、仲間の無言のエールも心に響いた。「(弟弟子の塩田)北斗が練習から何から必死になって取り組んで結果を出しているのを見たら、自分も頑張ろうという気持ちになれた。あいつなりの激励だったんだと思う」
これで通算28回目のVとなったが、当地はそのうち10回と強烈な実績を誇る。「福岡は僕にとって特別なレース場。成績がいいだけではなくて、いつも自分に何かきっかけをくれる」。郷原にとって復活を印象づけるには最高の舞台だったのは間違いない。もちろん、ここを起点にして大舞台に舞い戻るつもりだ。「4月で優勝2回なら、来年のクラシックを狙いたい。本当に福岡は最高です」。男、四十にして惑わず。長いトンネルの先にある輝く未来へ、一心不乱に走り続ける。(森 大輔)