【徳山ボート・SGグラチャン】磯部誠 特別インタビュー 成長させてくれた徳山に「勝って恩返し」/6月20日開幕
2023年のSGロードの第3弾、「第33回グランドチャンピオン」が6月20~25日、ボートレース徳山(山口県周南市)で開催される。地元の白井英治が制した第28回大会から5年。「SGの中のSG」とも呼ばれるハイレベルな一戦が、再びこの水面で繰り広げられる。その白井は今回は不在。随一の実力者の不在で、他選手にとってはVのチャンスが拡大する状況の中、徳山で苦い思い出がある磯部誠も、そのチャンスを生かそうと燃える一人だ。3度目の大会出場で初めてのドリームスタート。昨年はグランプリのファイナリストに名を連ね、3着で表彰台にも上った戦歴を引っ提げ、SG初制覇にチャレンジする。
◆磯部誠(いそべ・まこと)
1990年9月8日生まれの32歳。愛知県美浜町出身。碧南工高中退。2009年11月デビューの105期。デビュー4年目の13年2月に蒲郡で初V。GIは20年9月のびわこヤングダービーで初制覇し、計3度のV。SGは昨年末の大村グランプリが初優出(3着)でVはまだない。172センチ、53キロ、A型。
―3年連続3度目のグラチャン出場。今年の舞台は徳山です。
「徳山の水面には悔しさしかありません」
―雪辱への炎がいきなり燃え上がりましたね。優勝戦1号艇でインから2着に敗れた、昨年9月のGI周年記念のことですね?
「あのレースは本当に悔しかった。GIの中だったら、選手になって一番かもというぐらいにエンジンは出ていたのに、自分に負けた」
―優勝戦は6号艇だった白井英治選手が前付け。インにとって不利な要素がありました。
「確かに進入も進入でしたが、それ以前の自分の問題です。あの日は台風が接近して、追い風が8メートルぐらいと強く吹いていた。インから先マイしても流されやすい風なので、相手というよりその気象条件との勝負だと分かっていたのに、それに負けたということです(1Mのターンがやや流れ、2コースを取った白井に差し切られて優勝を逃した)」
―ただ、その2カ月後のまるがめ(香川県)の周年記念は、同じく1号艇で今度は優勝。敗戦のショックは引きずらなかった。
「徳山で負けた経験があるから勝てたと思う。自分はそれだけ、徳山で成長させてもらったと思って感謝しています」
―徳山も負けたとは言っても準V。さらにそのまるがめの優勝も効いて、昨年はグランプリ初出場まで果たしました。
「昨年は年頭に『グランプリに行く』と決めて、そう言葉にも出した。自分はSG戦線の中では『ポッと出の新人』みたいなもので、おこがましいと思ったけど、そういう気持ちが大事なんだと池田浩二さん(同じ愛知支部の大エースでグランプリ優勝歴あり)や、井口佳典さん(三重支部。同じくグランプリ優勝歴)とかにも言われたので」
―そのために何かを変えましたか。
「攻め方、走り方は今まで通り。心がけたのは、グランプリを見据えて長いスパンで計算を立てるというより、目の前の一戦一戦にいっそう集中するということ。自分は元々が『一発ドカンと当てる』というよりも、コツコツと泥くさく、というタイプ。一年ずっとそれを続けるのはしんどかったけど、グランプリはその結果だったと思っています」
―SGの予選ポイントの合計でメンバーが決まるグラチャンのドリームにも、今回初めて名を連ねました。
「そのコツコツのご褒美と思っています。ダービーのドリームに乗ったことはあったけど、(SGのドリームに出場して当然という)そこまでの一流選手ではないと思っていますから」
―SG前回の芦屋オールスター(5月23~28日)では予選の白星で通算1000勝を達成しました。
「昨年ずっと気を張り詰めていた反動で、今年は調子の波にどこか乗り切れない自分がいましたけど、区切りの白星をきっかけに、もう一度盛り上げていきたいですね」
―そのオールスターのオープニングセレモニーでは、売り出し中の後輩・仲道大輔選手と、実は親戚だとサプライズ公表。どんな親戚関係ですか。
「ええっと、僕のばあちゃんのきょうだいの・・・何だっけな。すみません、忘れましたけど、かわいい後輩、かわいい親戚ですよ。彼が初優勝(5月15日、とこなめ)して一緒に食事をして、彼のTシャツ(下左の写真)ももらったので、この機会にお知らせしようかなと」
―ご自身はこの徳山で、同じ初優勝でもSGの初優勝に挑みます。
「自分は元々が、最初からうまくいくようなタイプではない。GII初優出が1号艇で3着に負けた。昨年の徳山周年は、優出1号艇はGIではあれが初めてで、それも負けました。でも、それを乗り越えてきた(GIIも、GI優勝戦の1号艇でも優勝)のも自分です。成長させてもらった徳山への恩は、結果を残すことでしか返せないと思っています。頑張りますよ」