ボートレース

【蒲郡ボート(ナイター)クイーンズクライマックス】遠藤エミ 史上初の夏冬完全女王がファンの祝福に涙/再び舟券への貢献を約束

■ヒロイン
 女子最強レーサーが二度も失敗するわけがなかった。前日はインから2着に敗れていた遠藤エミが、優勝戦は全く隙のないイン逃げを披露。細川裕子のまくり強襲にもびくともせずにBSへ抜けると、2Mも完璧なターンで細川以下を突き放した。夏のレディースチャンピオンに続くV。これまで、誰もなしえなかった年間夏冬完全制覇の女王が誕生した。

ティアラを付けて王座に座る遠藤エミ

 前日は調整を失敗。それだけに開口一番、「ホッとしました」。今度はファンの期待を裏切らなかったことが何よりだった。

 ただ、失敗は無駄ではなかった。前日を反省材料に再調整を施した最終日は「調整するうちにどんどん良くなって、今節で一番良かった」と機力は急上昇。ただでさえ引き当てたのはエース格エンジンで、前検日に乗った瞬間から「めちゃくちゃいいエンジンやん。(優勝の)チャンスだな」。それほどに感じた猛烈なパワーを少しも無駄にすることなく、Vという形に仕立ててみせた。

優勝してガッツポーズの遠藤エミ

 史上初の夏冬制覇。はやし立てる周囲をよそに、本人は「その記録は別に…」と素っ気なく、「優勝できたことがうれしい」。新年に向けても、「また一走一走、全力で走って、舟券に貢献できれば」。自らの記録よりも、自分の走りでファンに還元できることがやりがいだと強調した。

 その気持ちは表彰式の最後にも表れた。満員の会場を目にして「年末の遅い時間に残ってもらって…」と話し出すと、あふれる涙で言葉が続かなかった。期待に応え、またファンから感謝を受けて、意気込みを新たにする好循環。「強いと思っていないので、もっと強くなりたい」

 シンプルに強さと勝利を追求することで、また無意識に大記録を積み上げていきそうだ。(深堀慎一郎)

王座の上で思わず感極まる遠藤エミ

■プロフィル
 ◆遠藤エミ(えんどう・えみ)1988年2月19日生まれ。滋賀県日野町出身。八幡商高卒業。登録番号4502。2008年5月、びわこでデビューの102期。12年11月に鳴門で初V。GⅠは17年12月の大村クイーンズクライマックスで初制覇し、これが女子最多となる5度目のV。22年3月には大村クラシックを制し、史上初の女子のSG覇者になった。一般戦も含めた通算では158優出45V。年間タイトルは優秀女子(17、21~23年)、記者大賞(22年)、特別賞(22年)。154センチ、46キロ、A型。

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