【からつボート・GⅠ周年記念】上野真之介 〝負けない戦い〟でみんなに恩返し/特別インタビュー/2月25日開幕
ボートレースからつ(佐賀県唐津市)
GⅠ開設71周年記念「全日本王者決定戦」
2月25日(火)~3月2日(日)開催
◆上野真之介(うえの・しんのすけ)
1988年2月25日生まれ(大会初日が37歳の誕生日)。佐賀県唐津市出身。唐津工高卒業。登録番号4503。2008年5月デビューの102期。同年8月にデビュー初勝利。10年6月にからつで初V。GⅠは13年2月の住之江周年で初優出(4着)し、これまで10優出でVはまだない。SGの優出は20年6月の宮島グランドチャンピオン(2着)、21年12月の住之江グランプリシリーズ(4着)の2回。一般戦も含めた全成績は、171優出36V。167センチ、53キロ、A型。
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GⅠ初Vならずも「悔いはない」
――昨年は5回のVを挙げるなど活躍しました。
「満足のいく、いい一年でした。出場を目標にしていたチャレンジカップ(毎年11月に開催するSG。年間獲得賞金上位34人が出場。昨年は下関で開催)に出られたので、何も悔いはないです」
――12月の三国の周年記念では優勝戦1号艇で準V止まり。GⅠ初Vにあと一歩でしたが、やはり悔いなしですか?
「みんなに言われるんですけど、そんなにショックは受けていないです。僕はメンタルは弱くないですよ。過去や未来をあまり気にしないって決めていますからね。後悔するぐらいなら、10歳に戻って勉強し直します(笑)」
――勝つチャンスだったことは確かだと思います。
「自分が勝つチャンスを逃したというより、応援してくれている人へ恩返しする機会を逃したことへの悔しさはあります。皆さんが、自分の出走先に横断幕を送ってくれたり、実際にレース場に来てくれたりしているのが分かっていますから、結果で恩返しするにはここしかないと思ったけど、できませんでした」
――昨年はほかのGⅠでも優出して、GⅠで年間3回も優出しました。
「僕の能力でよく戦えているなって思います。SGやGⅠを走るみんなと僕ではレベルが違いますもん。でも、手を抜かずに全て出し尽くすことで、自分の技量でも精いっぱいのことがやれていると思います」
――昨秋以降は同期が大活躍。11月には河合佑樹選手、同12月には前田将太選手がSG初優勝。
「2人とも優勝戦は1号艇でイン逃げ。僕だけが三国のGⅠの優勝戦でイン逃げができませんでした(笑)。でも、同期の誰かがそうやって大きな舞台で優勝するときに、一緒にその場にいられたのは良かった。同期の遠藤エミちゃんがSGを勝った時(22年3月のクラシック)は、自分はそのクラシックに出場できなくて、そこにいなかったので…。それで水神祭を一緒にできなかったのはちょっと心残りです」
河合佑樹は〝あっち側〟の人?
――同期に負けたくない思いもありますか。
「それはないですね。一緒に喜びたい。ただ、河合佑樹が優勝した時だけは戸惑いました。彼は自分と同じポジションにいるかなと思っていたんですけど、あ、違ったんだ。こっち側じゃなくて、あっち側の人?みたいな(笑)。それだけは不思議な感覚でした」
――新たな今年の目標はありますか。
「もっともっと頑張りますって、言うのは簡単ですけど、実行できないのも嫌。やっぱり今年もチャレンジカップに出ることがまず目標。その中で、家族との時間も大事にしたい。一番下はまだ小さいし、3人の子どもたちがメインの人生もいい。まあ、タイトルを取ってからそれが言えればいいんですけどね(笑)」
――毎節のレースには、どんな考え方で臨んでいますか。
「自分の場合、『優勝したい』というよりも、『負けたくない』という思いが強いです。強い人たちは勝つ根拠を探している感じがする。僕は負けない根拠を積むために、試運転の段階から全能力を発揮して、足の悪い部分を解消していく。その手順でプロペラ調整を組み立てます」
――そうなると、今大会の目標というのも…。
「準優で敗退せずに優出すること。そのために、まずは予選で敗退せずに準優に進むことを目指します」
――地元周年なら気合はいつも以上かと思います。
「はい。地元だと応援してくれる人も多いですしね。タイトルを取って周りの人に喜んでもらえれば、それが一番。自分のことで喜べる自信もないし…。弟子たちが優勝したら、本人たちより喜べる自信があるんですけど(笑)」
自分のバーで祝勝会だ
――弟子といえば、既にGⅠ覇者の末永和也選手の成長は目を見張るものがありますし、横田貴満選手は1月のまるがめで初優勝。
「横田のレースは生中継で見ていて、僕が一番応援した自信があります。今回のからつ周年は、もし自分が結果を出せたら、僕よりも弟子たちが喜んでくれたらいいですね」
――弟子たちには普段、どう接していますか。
「理想を押しつけるのではなく、僕の成長にマイナスだったことを伝えています。こういう考え方をした時に悪くなったとか、あの時間が無駄だったとかですね」
――上野選手は、唐津市内で経営するバーのオーナーという顔もありますね。
「来てみたい? 早めに来ないとつぶれますよ(笑)。優勝したら弟子たちを連れて、僕のバーでワイワイしたいですね」
――地元以外のファン向けに、観戦がてらの唐津の見どころも教えてください。
「グルメだとやっぱり呼子(唐津市)のイカでしょう。そして生魚全般はおいしいらしいです」
――〝らしい〟ですか?
「僕、生ものが駄目で…。昨年、唐津で一緒に食事をした桐生順平さん(2期先輩の埼玉支部のエース)は『生ものはやっぱり違う』って大絶賛でした。最後は僕のバーで酔いつぶれていましたけどね(笑)」
■開設71周年記念「全日本王者決定戦」
優勝賞金1200万円。地元佐賀支部は、地元周年初制覇が懸かるエース峰竜太、1月の下関周年を制した宮地元輝、昨年はSG初Vを飾った定松勇樹ら総勢12人体制で、瓜生正義、菊地孝平、馬場貴也ら強力な遠征陣を迎え撃つ。前回の70周年(2023年9月に開催)は濱野谷憲吾(東京)が優勝。前々回の69周年(2022年12月に開催)は地元の山田康二(今回も出場)が制した。