ボートレース

【児島ボート・SGオーシャンC】羽野直也SG初V 「最高の夏にできそうな予感」が現実に

SG初制覇を果たした羽野直也

 開催3日目に梅雨明けが発表され、熱気と高温の中で争われた、児島ボート(岡山県倉敷市)のSG「第28回オーシャンカップ」(優勝賞金3400万円)は最終日の23日、最終12Rで優勝戦を争い、5号艇の羽野直也(28)=福岡=がまくり差して1着。SG3度目の優出で初Vを達成した。2着は3号艇の磯部誠、3着は4号艇の桐生順平で、人気を集めた1号艇の馬場貴也は6着。3連単の配当は16万260円(103番人気)とSG優勝戦の最高配当記録を更新した。6日間の総売上額は133億3103万5900円と目標額の130億円を上回り、大会初の児島開催は大盛況で幕を閉じた。

SG初Vを果たして笑顔の羽野直也

■ヒーロー
 大会前、「今までよりいい夏にできそうな気がする」と語った一言が、あっという間に現実のものになった。九州が誇る若き逸材・羽野直也が、待望のSG初V。1Mは、競り合う内両者を横目に枠なり5コースから的確なまくり差し。「たまたま展開が向きました」。他力を強調したが、同じように差した他の誰よりも角度もスピードも抜群だったからこその優勝だ。

 準優の反省をすぐに生かした。接戦を制しての2着という好レースだった準優だが、「1周1Mがミス。まくりのイメージからまくり差して失敗した」。

 そこで優勝戦は「思い切って差そうと思っていたのが良かった」。戦法の腹を決めた度胸がもたらした優勝に、篠崎仁志や前田将太ら先輩たちも「すげーな」と、ただただ感服した。

 実は舟足は仕上がっていなかった。「調整がズレていて、1Mのイメージもあまり湧かないほどだった」。それでも慌てなかったのは、近年鍛えたメンタルのたまもの。「どんな状態でも舟券に絡むことを意識して取り組んできた」。その姿勢はファンにも伝わっており、「高配当だったから外れた人が多かったと思うのに、ウイニングランでたくさんのファンがいた。本当にありがたい」。舟券の勝ち負けを超え、好漢の初Vを誰もが祝福した。

ウイニングランでファンに手を振る羽野直也

 平成生まれ初のG1ウイナー。SGでは、6月の徳山グランドチャンピオンを制した磯部誠に先を越されたが、たった1カ月で肩を並べた。「勝ててよかった。でも、今後の重圧の方が大きいのかな」。GⅠ初制覇後の苦悩の記憶が、その未来を想像させる。

 ただそれも「経験してきたので」。苦悩も糧にできているのが今のメンタル。「地元SGの優勝が次の目標。福岡のメモリアル(8月22~27日)、頑張ります」。「今までよりいい夏」はまだ終わらない。(深堀慎一郎)

■羽野直也(はの・なおや)
 1995年3月29日生まれ。福岡県飯塚市出身。嘉穂東高卒業。2014年5月にデビューの114期。16年7月、芦屋で初Vを挙げると、翌17年10月に大村でG1初V。平成生まれ初のG1覇者になり、同年の最優秀新人にも選ばれた。22年はボートレース界最高峰の一戦であるSGグランプリに初出場。SGの優出はこれが3度目だった。G1では4回のV。167cm、55kg、AB型。

■優勝戦VTR
 S展示も本番も枠なりの3対3。S展示で21の6番手タイミングだった(2)茅原が、本番は04のトップS。08だった(1)馬場よりも先行した勢いで、そのまままくろうとしたの対し、馬場も引くに引けず猛抵抗。両者はもつれながら大きく流れた。

 その2人の攻防をすぐ隣で見ながらの1番差しが(3)磯部だったが、舟の向きがわずかに甘く、やや横流れ。次いで差そうとした(4)桐生もスピードに乗り切れず、(5)羽野がその両者の間をスムーズに差し抜けた。

 BSは羽野を先頭に、外から半艇身遅れて磯部が追走。内からは桐生も1艇身の差で迫ったが、羽野が2M先手で単独で先頭へ。外マイで続いた磯部が、桐生の追い上げを退けて2着。桐生も、池田に迫られはしたが3着は守った。

 3連単の配当の16万260円は、2005年6月26日の下関グランドチャンピオン(優勝=4号艇の山本浩次)の6万390円を大きく上回るSG優勝戦の最高配当。

1周2Mを先頭で回る羽野直也

■戦い終わって
 磯部 誠(2着)(絶好の展開だっただけに)何をやっているんだ、俺は・・・。1Mは、叩かれないようにとか、ちょっと考えることが多かった。ベストの状態では行けた。
 桐生順平(3着)足は良かった。ただ水面が良すぎて、初動で引っかかってしまった。あれがなければ・・・。技量不足です。
 茅原悠紀(4着)Sは少し様子を見たが、準優でいいSを行けていたから、それと同じようにと行った。あのスリット隊形なら(まくりに)行くしかないし、悔いはない。エンジンは出ていたし、仕上がりは優勝戦が一番良かった。
 池田浩二(5着)足自体は悪くなかったが、Sが行けなかった。
 馬場貴也(6着)僕もしっかりSを行ったはずだが、早いと思って(茅原に)ついていけなかった。エンジンは十分に引き出せていたと思う。
 

水神祭で水面に投げ込まれる羽野直也
水神祭で水面に投げ込まれた羽野直也
「羽野きゅん」の愛称の羽野直也(中央)を「きゅん」のポーズで祝福する前田将太(左)と篠崎仁志(右)

 

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