【大村ボート(ナイター)SGグランプリ】白井英治 GP初制覇
ボートレース発祥の地・大村ボート(長崎県大村市)で初めて開催された業界最高峰の一戦、SG「第37回グランプリ」は最終日の18日、最終12Rで1億円を懸けた優勝戦を争い、1号艇の白井英治(46)=山口=がイン逃げで念願の大会初制覇を果たした。SGは3度目、通算では107回目のV。2着は6号艇の馬場貴也、3着は4号艇の磯部誠で3連単は6530円の21番人気。同時開催の「グランプリシリーズ戦」は11Rで優勝戦(1着賞金1700万円)があり、SG初優出だった3号艇の宮地元輝(36)=佐賀=がSG初Vを飾った。6日間の総売上額は259億円余りで目標額(250億円)を上回った。
■ヒーロー
師匠の夢を弟子が引き継いだ。グランプリ表彰台の常連どまりだった白井英治が、ついに壁をぶち破る初制覇。ボートレース界のスーパースターだった師匠の今村豊さん(2020年10月に引退)が何度チャレンジしても届かなかった頂点に到達し、「初めて師匠に恩返しできた感じ。言葉では言い表せないものがありますね」。8年前のSG初V時に語った「師匠を超えることが弟子として最高の恩返しだと思っている」という言葉の一端をここで実現。偉大な師匠を上回るものを一つ、手に入れた。
なかなか調整が合わず、一日かけて試運転を繰り返した。「最後までもがいたのが良かった。最後は合っていて展示から良かった。自信を持って行けた」。その成果もあって危なげなく1Mを回ると、素早く立ち上がって独走劇。ピットに引き揚げると「感慨深いし、今までにないすごい興奮感。もう一回、勝ちたいですね」。年に一人だけしか味わえない喜びをしみじみとかみしめた。
今夏のメモリアル優勝戦でFという大失態。「大変申し訳ない」。近年になくうなだれたが、レーサーとしてすぐに仕事が待つ以上、戦闘態勢は失わなかった。「グランプリのことしか考えていなかった。今節の前もそのFの休みで、心技体をそろえることができた。肉体をちゃんとつくれたのが良かった」。同じ1号艇で敗れた平和島のグランプリを「まだ若かった。(勝つ資格が)そろっていなかった」と振り返ったが、それを整えることができた今回は自信も持てて臨めた一節間だっただろう。
Fの罰則は痛く、来年は一般戦回りからのスタート。それでも「必ずこの舞台に戻って来られるよう、計算しながら走って行きます」。師匠を超えたと言えるその日まで、弟子の挑戦は永遠に終わらない。(深堀慎一郎)
【戦い終わって】
馬場貴也(2着)仕上がりは一番良かったし見せるレースができたと思う。本当にいい経験ができました。
磯部 誠(3着)悔いはないです。それよりも2Mで転ばなくて迷惑をかけなくて良かった。いい勉強になりました。
原田幸哉(4着)仕上がりは良かった。ただ、1周1Mでターンミスしたし、2M、2周1Mもミスしていた。悔しいですね。
深谷知博(5着)全然合っていなくてダメでした。調整ミス。全部に影響があった。
片岡雅裕(6着)ベストの状態で行けた。初めてのGPはいい経験になったし、楽しかった。来年も出られるように頑張ります。