ボートレース

【津ボート・PG1レディースC】常識覆す2コースツケマイ 遠藤エミが2年ぶり2度目制覇

優勝した遠藤エミ(中央)をたたえる中谷朋子(左)と香川素子(右)

 猛暑の中で6日間にわたって争われた、津ボート(三重県)のプレミアムG1「第37回レディースチャンピオン」は最終日の6日、12Rで優勝戦を争い、2号艇の遠藤エミ(35)=滋賀=が2コースまくりで優勝。2年ぶり2回目の夏の女王の座に就いた。2着は4号艇の川野芽唯、3着は5号艇の渡邉優美。人気を集めた1号艇の平山智加は4着に終わった。遠藤は今年初、G1は3回目、通算では昨年のSGクラシックも含めて39回目の優勝。6日間の総売上額は101億4426万9800円で、目標額の100億円をクリアした。

優勝した遠藤エミ

■ヒロイン■
 史上初の女子のSG覇者・遠藤エミが、その肩書通りの強い勝ちっぷりで女王に返り咲いた。

 最終日は終始、強いホーム追い風。まくれば風に流される恐れが大きく、差し有利が常識の水面状況だったが、遠藤が選んだ戦法はセオリーとは逆の2コースツケマイという強攻策。

 「インの平山さんがスリット後、外に張っていたので、自分が1着を狙うには上を行くしかない」

 その判断は大正解で、平山を引き波にはめて真っ先にBSへ。「ターンの出口で流れたので誰かに差されたかと思ったけど、私の出足も良かったのでそこから前に押してくれた。いい足に仕上げられた。会心の勝ち方? そうですね」。思い切りの良さと調整力が存分に生きた優勝にご満悦だった。

優勝者会見で笑顔を見せる遠藤エミ

 今年ももう8月だが、意外にもこれが今年初V。昨年5月のからつ以来、実に1年3カ月ぶりの優勝と、女子トップの力量ながらも勝てない期間が長かった。「もどかしさはやっぱりありました」。だからこそ、優勝直後の第一声は「ホッとしている」。2号艇だった今回の優勝戦は決して大本命ではなかったが、SG制覇以来、さらに大きくなるばかりの期待と注目に応える優勝に、肩の荷も少しは下りたことだろう。

 優勝賞金1200万円を上積みし、賞金ランクは女子トップに浮上。ただ、全体の順位はまだ38位にとどまる。「上(グランプリ出場権争い)にはまだつながらない。もっと上積みできるように頑張りたい」

 昨年末には女子として史上初のグランプリ入りも果たした実力者にとっては、今回の優勝も一つの通過点。年末にボートレース界の頂点に上り詰めるため、猛スパートをかける。(深堀慎一郎)

■プロフィル■
 ◆遠藤エミ(えんどう・えみ)1988年2月19日生まれ。滋賀県出身。八幡商高卒業。2008年5月デビューの102期。12年11月、鳴門で初V。17年12月の大村クイーンズクライマックスでG1初V。昨年3月の大村クラシックで女子初のSG制覇という歴史的な大快挙を成し遂げた。通算142優出39V。G1の優勝はこれが3度目。154センチ、44キロ、A型。

■戦い終わって■
 川野芽唯(2着)優勝戦が一番いい状態だったけど、遠藤さんの方が良かった。自分は伸びがない。準優で勝って1号艇なら(結果は)違ったかもしれないけど・・・。今は悔しさしかない。
 渡邉優美(3着)風を読み切れずに1Mを失敗した。でもやれることはやった。足も良かったと思う。
 三浦永理(5着)3コースから最内差しは頭になかった。(自分の攻めの)選択の幅が狭かった。道中は乗りやすかったし、調整はできていた。(敗因は)腕ですね。
 樋口由加里(6着)今節で一番いい仕上がりで行けたと思う。でも、展示からみんなとはエンジンの差がある感じだった。優勝戦に乗れたのは良かった。

 1枠・平山智加は4着
 ○…予選3位ながら優勝戦1号艇が巡った平山智加だったが、遠藤エミのツケマイを浴びて4着に敗れた。「握って差されるのも嫌だったので、ちょっと大事に回り過ぎました」。強いホーム追い風が吹き、イン受難の流れがずっと続いた最終日の水面状況が心理面に微妙に影響。「エミちゃんが握ってあの位置にいたんだから、私も思い切って握って回らないといけなかった。足自体は満足できる仕上がりでした」と1Mのターンを悔いた。

■優勝戦VTR■
 全て枠なり進入だった今大会。最後の優勝戦も枠なり。3対3の隊形でスリットへ。

 Sは大外樋口がトップタイミングの10ながら、内5人も11~14と小差の踏み込み。スリット後にややのぞいたのは(2)遠藤、(3)三浦、(5)渡邉だったが、1Mは(1)平山が内有利に先マイ態勢。ただ、遠藤がその瞬間にツケマイ強襲。平山はたまらず引き波にはまり、その内を川野が差してBSへ抜けた。

 BSは遠藤が2艇身のリード。川野が続き、さらに4艇身遅れて、内に平山、外に三浦、両者の内に渡邉が切り返して2Mへ。

優勝戦の1周2Mを先頭で回る遠藤エミ

 2Mを回ると上位2人は早々と順位が決した。3番手は平山が抜け出したが、渡邉が全速戦を連発して追い詰め、3周2Mでついに逆転して3着に入った。

3周2Mの全速戦で平山智加に競り勝って3着に入った渡邉優美

 

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