【福岡ボート(サマータイム)SGメモリアル】馬場貴也が児島のリベンジ達成
福岡ボート(福岡市中央区)で22日から開催されていたSG「第69回ボートレースメモリアル」は27日、最終日を開催した。12R優勝戦では1枠の馬場貴也(39)=滋賀=が、2枠の桑原悠の攻めを封じ切って勝利した。馬場は優勝賞金4000万円を手にし、今年の獲得賞金額は大台を突破して1億475万6000円。賞金ランクトップに浮上した。2着には桑原、3着には4枠の重成一人が入り、3連単1―2―4、900円の1番人気決着だった。なお、節間の売り上げは目標額の140億円を大幅に上回る147億9073万5000円となり盛況のうちに幕を閉じた。
一カ月前に味わった悔しさを今度は大きな喜びに変えた。優勝戦のポールポジションに陣取った馬場は、2コースからエース機を武器に差して迫る桑原を何とか振り切り逃げ切り勝ち。直前のSG児島オーシャンカップでは同じ優勝戦1号艇で辛酸をなめたが、今度はきっちりVを勝ち取り圧倒的な人気に応えて見せた。
しかし、薄氷を踏む思いでの勝利だった。「急に雨が降って調整を合わせられていなかったし、桑原君がすごく出ていて…。10Rの特別選抜から1号艇が負けだして、かなりプレッシャーが掛かっていました」。迫り来る桑原を見て敗戦も覚悟したが、この窮地を救ったのは研さんを積み重ねた持ち味の旋回力だった。「とにかく一つ一つ丁寧にターンをしようと。最後まで気を抜けなかった。3周ってこんなに長いんだなって思いました」。
児島のリベンジを果たしたことはもちろんだが、難産だったからこそ今回の勝利は格別だったのは言うまでもない。その最大の理由は、コロナ禍が終わり入場制限が解除されたスタンドに詰めかけた大観衆だ。「こんな満員のファンの中で表彰式に出るのが夢だったし、ずっと思い描いていた景色だった。昨年にダービーを勝った時はまだ人数制限があったんで…。選手をやっていてよかったと思えたし、自分のレーサー人生で忘れられない優勝になりました」。
今回のVで獲得賞金額は2年連続で1億円を突破して、賞金ランクも1位に浮上。昨年にやり残した宿題を終わらせるべく、年末まで突き進むつもりだ。「優勝できたけど、今回で自分の弱さや足りない部分もまた見つかった。もっともっと強いレーサーになって、グランプリに行きたい」。さらなる真価を見せる昨年のMVP。ボート界の頂点に立つべく、一心不乱に突き進む。(森 大輔)