【福岡ボート・GⅠ周年記念】渡邉優美　「優勝して泣きたい」　10日開幕を前に特別インタビュー

　福岡ボート（福岡市）のGI開設70周年記念「福岡チャンピオンカップ」（優勝賞金1100万円）が10日、開幕する。GI戦線復帰を果たした峰竜太をはじめ石野貴之、吉川元浩、桐生順平と歴代グランプリウイナーがズラリと顔をそろえ、前回覇者の宮地元輝も参戦。迎え撃つ地元福岡支部勢は、SG11冠の大エース瓜生正義を筆頭に10人体制。そのうちの一人で、この地元水面で「周年記念」に初出場を果たす福岡支部女子のエース渡邉優美に熱い思いを語ってもらった。

◆渡邉優美（わたなべ・ゆみ）
　1992年9月19日生まれの31歳。登録番号4590。福岡市出身。平尾中を卒業後にすぐ、105期生として入ったボートレーサー養成所では、女子で数少ない6点台（6.11）をマークして卒業。2009年11月に17歳でデビューした。同門の94期生の永田啓二に師事してから急成長し、現在は女子のトップレーサー。今年5月に芦屋（福岡県）で開催されたオールスターでSGデビューを果たした。GIの優出は今年8月の津（三重県）レディースチャンピオンなど3回。デビュー通算66優出13Vで、生涯獲得賞金は2億7千万円を超える。同期は塩田北斗（福岡）菅章哉（徳島）佐藤翼（埼玉）磯部誠（愛知）ら。

　―男女混合のGI出場は地区選、ヤングダービーはありますが、「周年記念」は他場も含めて今回が初めてです。

　「呼んでもらえて、福岡の施行者さんには本当に感謝しています。地区選も楽しかったけど、周年は本当に楽しみ。ワクワクしかない。それに走り慣れた地元なのも余計に楽しみです」

　―10月下旬にはSGダービー（全レーサー1600人中、1年間の勝率上位52人だけが出場。今年は愛知県・蒲郡で開催）にも初出場。

　「予備からの繰り上がり出場なので、福岡のSGメモリアル（8月）で優勝してくれた馬場貴也さん（優勝前から出場権を保有）に感謝です（笑）。私はダービー出場への勝負駆けに福岡の一般戦で失敗していたので･･･。今回の福岡の周年、さらにはダービーと、男子の最高峰の選手たちと戦えるのは心の底から楽しみです」

　―前期（昨年11月～今年4月）は自己最高勝率（7.26）をマークし、今期（5月～）はさらに更新する勢い。

　「自己最高とかは意識していないです。（自分の中の最高ではなく）常にもっと上を目指しているので。今はS力も旋回力も調整力も、全部を引き上げたい。常にそういう風に思っているのが成績につながっているのかもしれませんね」

　―そう思うようになった理由は？

　「5月のオールスターに出て、SGやGIが現実的に視界に入るようになってきたからだと思います。簡単に勝てるとは思っていないし、実際に勝てない。でも、そこで味わう悔しい思いが、もっと力を付けたいという推進力になっているのは間違いない。だから、高いレベルに身を置いて、いっぱい悔しい思いをしたい」

　―SGやGIで活躍する同期の存在も大きい。

　「磯部（誠）君がSGを勝ったし、その磯部君とはダービーでも一緒に走れる。そういう同期がいることで、SGやGIを身近に感じられるようになったのも間違いないです」

　―SGやGIの主力級へとステップアップしなければならないですね。

　「自分のあっせんを全部SGとGIにしたいですね。女子戦にも女子戦の面白さがあるけど、SGやGIで勝とうと思ったら女子戦は全部1着を取るぐらいじゃないとダメだと思って走っています。SGやGIに出るだけじゃなく、そこで勝ちたいですから」

　―そういう意味では地元開催の今回の周年は、道を開くチャンスですね。

　「GIを取りたいし、こことダービーでいい成績を挙げられればグランプリ（年間の賞金上位18人が出場）だって夢じゃない。女子でそれができたら、すごくかっこいいじゃないですか（笑）」

　―昨年の遠藤エミ選手がそうでしたね。

　「私が欲しているのは、そういうところなんだと思います。（出場権としての賞金額は求めても）正直言ってお金を持つことにはあまり興味がないし、いくら稼ぎたいとかはないんですよ。人間はいつ死ぬか分からないし、明日死ぬかもしれない。それなら今の一瞬を悔いのないように生きたいし、かっこいいことをしたい。それが今の私の原動力だと思います」

　―だとすれば地元の周年で優勝するのは最高にかっこいいですね。最後に意気込みを。

　「本当に、地元の周年でウイニングランができたら最高ですね。今までのレーサー人生は負けて泣いてばかりだったけど、一度でいいから勝って泣いてみたい。優勝して泣けるように精いっぱい頑張ります」