【福岡ボート・GⅠ周年記念】山本寛久が鬼足で9年ぶりにタイトル奪取
福岡ボートのGⅠ開設70周年記念「福岡チャンピオンカップ」は最終日の15日、最終12Rで優勝戦が争われ、3コースからコンマ01のトップSを踏み込んだ3号艇の山本寛久(47)=岡山=が一気にまくって制した。GⅠの優勝は2014年の若松62周年以来2度目。山本は賞金1100万円とともに、来年開かれるSGクラシック(戸田ボート、3月15日~)の出場権を獲得した。2着は4号艇の深谷知博、3着は2号艇の篠崎元志が入り、1号艇の石野貴之は6着。3連単は1万2050円、32番人気の波乱の決着だった。節間の売上額は74億5161万1900円で、目標額の65億円をはるかに上回る大盛況だった。

■ヒーロー
最後に大技を披露した。日曜日で天候にも恵まれ、大観衆を集めた優勝戦。3号艇の山本寛久は、3コースから0.01のトップSを決めると問答無用のまくりを敢行。内に陣取る石野貴之、篠崎元志をスリットから置き去りにする鮮烈かつ豪快な勝ち方で、9年4カ月ぶりのGⅠタイトルを手に入れた。
相棒は、今や全国にその名をとどろかすスーパーエースの61号機。「行き足や伸びは最初からずっとすごかった」というところに、優勝戦前に施したペラ調整で出足や回り足まで完備していた。「選手生活でも一番。生涯一の足だった」というほどの〝鬼足〟にまで昇華したパワーに、「全速です」のSを加えればまさに鬼に金棒だった。
そんなエース機のパワーがVの大きな要因になったのは確かだ。でも、それだけではない。「自分がこのエンジンを引いたことで、お客さんをがっかりさせたくなかった。エース機に恥じないレースをすると最初から気合が入っていました」。この〝気力〟こそが最大の勝因。エンジンと人、人機一体となったことが、9年ぶりのタイトルをもたらしたのは言うまでもない。
このVで来年の戸田・クラシックの出場権を獲得。SG復帰が確定したが、今年の獲得賞金額も4000万円を超えて52位に浮上したことから、SG復帰を年末のグランプリシリーズに前倒しできる可能性も出てきた。「もうSGなんか縁がないと思っていたけどね。でも、浮つかないで次の芦屋の一般戦から、またしっかり走るだけ」。四十にして惑わず。持ち前の豪快なレースに円熟味を加えた47歳は、再び大舞台で暴れるべく、一般戦から牙を研ぐ。(森 大輔)
■プロフィル
◆山本寛久(やまもと・ひろひさ)1976年6月2日生まれの47歳。岡山県出身。倉敷工高卒。登録番号3874。1996年11月の児島で、79期生として20歳でデビュー。通算253優出61Vで、そのうちGⅠは2014年若松62周年と今回で2V。生涯獲得賞金は7億4322万4262円。おじは元レーサーでJLCの専属解説者も務めた山本泰照さんで、現役レーサーの平尾崇典はいとこ。同期は吉川元浩、岩崎正哉、中辻崇人ら。172センチ、53キロ、AB型。
■優勝戦VTR
進入に動きはなく、123/456の枠なり3対3。3コースの山本寛久がコンマ01の究極S。12、13だった内2艇をあっさりとのみ込んで早々と独走態勢を築いた。4コース深谷が山本の上を握って2番手追走。3番手は、山本にまくられながらも粘った2コース篠崎が、6コースから最内差しで浮上した中島との接戦を制した。
