ボートレース

【ボートレース】11月デビュー 133期九州・山口勢新人紹介

ボートレーサー養成所133期チャンプ決定戦で優勝を果たし表彰される小林京平(中央)

 ボートレーサー養成所(福岡県柳川市)を9月22日に修了した133期の27人(男子18人、女子9人)が、11月から各地でデビュー戦に臨んでいる。九州・山口の郷土勢7人も、9日に初日を迎える福岡ボートと下関ボートに参戦する面々を皮切りに、いよいよプロの第一歩を歩み出す。養成所チャンプにも輝いた小林京平(25)=山口=をはじめ、将来有望な郷土のヤングレーサーたちを紹介する。

ボート133期の九州・山口勢
登番 年齢 支部
出身
出身校 デビュー
(11月)
勝率
名 前
5311 25歳 山口 徳山商工高 9~14日
下関
6.92
小林 京平 山口
5312 23歳 佐賀 九国大付高
-久留米大
21~24日
 からつ
6.01
川辺 郭人 佐賀
5328 20歳 福岡 高稜高 9~14日
福岡
5.69
井上 慧人 福岡
5330 19歳 福岡 藤蔭高 9~14日
福岡
6.09
安河内鈴之介 福岡
5335 18歳 長崎 島原工高 19~25日
大村
4.90
森  陽多 長崎
5336 17歳 山口 下関工科高 22~28日
下関
3.70
瀬川 大地 山口
5337 17歳 福岡 九産大九州高 9~14日
福岡
4.59
出畑 孝成 福岡
※勝率は養成所リーグ戦勝率

 

■小林京平 地元徳山愛もチャンプ級

 誰よりも強い地元愛でプロの世界に飛び込む。小林京平(こばやし・きょうへい)がボートレースと出合ったのは徳山ボート。迫力あるレースに一目で魅了されたことでレーサーへの憧れを抱くようになった。

 さらに、幼なじみの親類に現役レーサーの江本真治がいたことで、レーサーという職業をより身近に感じて、その思いはさらに強まった。「自分も同じ舞台に立ちたい」。既に社会人としての道を歩み、決して若くもなかったが、養成所の門をたたくことを決意。強い思いが実って、一発合格を果たした。

 養成所生活を「今までの人生で一番長くて濃い一年間だった」と振り返る。柔和な雰囲気の最年長者とあって、同期からは親しみを込めて「じいちゃん」と呼ばれ、慕われた。

 陸では穏やかなじいちゃんだが、水面では対照的。リーグ戦勝率3位の優秀な成績で同期たちを圧倒。修了記念競走では3コースから豪快にまくって勝利をつかみ、チャンプの座に就くまでに至った。

 133期の頂点に立った男は「目標は徳山の周年記念で優勝すること」と地元GⅠタイトルを熱望する。憧れの江本真治のように地元を代表する選手を目指す。

 

■川辺郭人 幼なじみは先輩レーサー

 幼なじみの2人は〝先輩レーサー〟。川辺郭人(かわべ・がくと)は、126期の常住蓮、131期の小玉啓太とは幼稚園から同級生の間柄。元々は小学校から野球一筋。高校も強豪校に進みグラウンドで汗を流したが、けがのため野球の道は断念せざるを得なくなった。
 そんな中、新たな道を示してくれたのは、物心がついたときから苦楽をともにしてきた友が水面を走る姿だった。レーサー志望のきっかけは「常住蓮がレースで走っているのを見て」。養成所チャンプにもなるなど鳴り物入りでデビューした〝先輩〟の活躍を目の当たりにし、レーサーになることを決めた。「小玉啓太と一緒に受けた」という131期は自分だけ不合格。「悔しかった」と友を見送る形になったことでさらに意欲を高め、3度目で養成所の門をくぐった。
 厳しい訓練も「充実した一年間だった」と振り返る。その間も常住らとは連絡を取り合ったが「とりあえず卒業してこい」とボートに関する助言は一切なし。それでも野球少年時代に培った諦めない気持ちで、友と同じ舞台に立つ権利をつかんだ。「元気がとりえです」。追い付け追い越せと、幼なじみの先輩に一日でも早く近づいてみせる。

 

■井上慧人 白星積み重ね母に恩返し

 井上慧人(いのうえ・けいと)のボートレースへの興味は意外なところから始まった。幼い頃、祖父に連れられた芦屋ボートで、一番に注目していたのが各選手の色とりどりのヘルメット。「自分でも変わっていると改めて思う」
 そのヘルメット姿の選手を見ていくうちに、興味は次第にレースへと移り、ついにはヘルメットをかぶる側を目指そうと決心するに至った。
 ただ目指した当初は、学校の教師に「簡単になれるものではない」と難色を示され気持ちが揺らいだ。それでも、母に相談し、もらった一言は「めっちゃいいじゃん」。その言葉に後押しされ、あとは一直線だった。
 サッカーで鍛えた体力が自慢。ただ、筋力の重さは減量の面ではハンディになったが、養成所ではきっちりと体重を管理。ボートレーサーとしてのプロ意識は既に身に付いている。
 実技では「狭いところでも素早く舟を向けて差すことができる」と自負する差しに磨きをかけてきた。「目標は新開航選手。多くの賞金をもらって母に恩返しがしたい」。昨年の年間最多勝の称号を手にした男のように白星を積み重ねる選手になる。

 

■安河内鈴之介 非凡な旋回力で出世頭に

 家族の後押しでボートレーサーに。白球を追いかけ続けた野球少年の安河内鈴之介(やすこうち・すずのすけ)が職業として選んだのはボートレーサーだった。体の小ささから野球を続けることに不安を抱き、父に将来を相談。その体格を生かせることもあり、レーサーの道を勧められた。さらに姉の知り合いでもある末永和也、篠原晟弥の両現役レーサーと直接話す機会も得て、進むべき道がはっきりと定まった。
 入所前の養成所のイメージは「映像で見たらキツそうだし、入りたくないな」とやや尻込み。ところがいざ入ってみれば、「思った以上にキツくなくて」と自身の思い込みとは真逆の充実した生活。実りある一年をあっという間に駆け抜けた。
 「最初からスピードを持ってやれた」と自負する旋回力は、実技指導を行った元レーサーの原田富士男教官からもお墨付きをもらったほど。メキメキと力をつけてリーグ戦でも優勝を果たし、養成所修了日のチャンプ決定戦に先立って行われたレースでも5コースから白星を挙げるなど非凡な才能を見せつけた。
 目標とする選手は、受験前に今の進路を示してくれた末永和也。既に最高峰の舞台で戦う先輩に負けじと、一日でも早く若手の旗頭になってみせる。

 

■森陽多 目指すは次代のまくり姫

 男子にも負けないレーサーになる。森陽多(もり・ひなた)は幼いから父に連れられ、大村でボートレースを観戦。男子とも対等に戦う女子選手に魅了された。小柄な体を生かせることや、女子でも稼げるとの父の勧めもありレーサーを志望。その強い思いが通じて養成所は一発合格。レーサーへの出発点に立った。
 訓練当初は苦労した。「スピードがなくて…。置いていかれるのは悔しかったし、スピードを出そうとすると恐怖心もあって、泣いてしまうこともあった」と気落ちすることもしばしば。それでも、中学、高校と長距離走で鍛えた忍耐力を発揮。「休み時間の穏やかな水面で、スピードを出す練習をした」と休むことなく工夫しながら課題に取り組み続け、苦手意識を少しずつ克服した。
 すると指導教官も、「レースに対する考え方やペラ調整などの器用さをみると、いずれ頭角を現すかも」と一目置くほどにまで成長。リーグ戦では2度の優出を果たし、その秘めた才能の片りんをのぞかせた。目標とする選手は「まくり姫」の異名も取る高田ひかる。自らの才能を伸ばして、男子もなで斬りにする女子レーサーを目指す。

 

■瀬川大地 父の姿に憧れてプロ入り

 瀬川大地(せがわ・だいち)の父は現役選手でもある瀬川公則。幼いころから父のひたむきに努力する姿を目の当たりにし、自らも同じ道を歩むことを決意した。夢を見定めてからは自らの座右の銘通りに勇往邁進(まいしん)。2度の受験を経て、高校卒業を前に養成所へと入所した。
 サッカー少年だった中学時代には、中国地区大会にも出場するほどのチームでキャプテンを務めた。そのチームをまとめる力は厳しい訓練所生活を乗り越える原動力にもなった。
 また、どんな苦しいときでも父の姿を忘れず、腐ることなく努力を怠らずに課業をこなし続け、夢の出発点にこぎ着けた。
 「そのまくりが格好良かったから」と同じ山口支部でグランプリウイナーにも輝いた白井英治を目標の選手に挙げる。その白井と同じように「SGレーサーになる」ことが自身の夢でもある。プロになるにあたり、父の公則は「〝初期設定〟は自分がやる」とプロとしての心構えを徹底的にたたき込む所存。父の教えを糧に最高峰の舞台で戦う選手に―。〝最強の2世レーサー〟への第一歩を歩み出す。

 

■出畑孝成 偉大な父を超える選手に

 偉大な〝先輩〟を追い越したい。出畑孝成(でばた・こうせい)の父・孝典(たかのり)はGⅠタイトルも持つ強豪レーサー。幼いころから見てきた父の背中に憧れ、その偉大な背中を追うことを決めた。自身と同じ道を選択した愛息に父も「思い切ってやってこい」と背中を大きく押して送り出した。
 「訓練を始めて操縦がうまくいかないと、改めて父のすごさを実感した」と養成所では苦労の連続。それでも「レーサーは気持ちが一番大事」との父の薫陶を胸に、前向きに意欲を保ち、試行錯誤を繰り返した。サッカーで鍛えた、常に考えながら動くことは「模擬レースが始まってからは得意なコースを見つけることができた」と水面での判断力を身に付けることにも一役買い、「充実した時間を過ごせました」と胸を張るほどに、訓練の成果への手応えを語った。
 「父はいつも優しくて、友達みたいな感じです。デビューしてからは、いろいろ教えてもらいながらやっていきます」と親子鷹でプロの荒波に立ち向かう。そんな仲睦まじい関係ながら「目標は父を超えること。勝ちたいです」と勝負師としてのDNAもチラリとのぞかせる。偉大なライバルに打ち勝つべく第一歩を踏み出す。

 

修了式を終えて笑顔で写真に納まる133期生

 

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