【とこなめボート・GⅠダイヤモンドC】新開航が3度目のGⅠ優出で初制覇
とこなめボートで6日間にわたって争われたGⅠ「常滑ダイヤモンドカップ」は最終日の17日、12Rで優勝戦(1着賞金1000万円)を争い、1号艇の新開航(27)=福岡=が、トップタイミングのコンマ03のスタートを張り込みイン逃げで優勝。3度目のGⅠ優出で初制覇を果たした。特別戦は昨年6月の芦屋モーターボート大賞以来2度目、通算では19回目のV。2着は3号艇の馬場貴也、3着は4号艇の土屋智則。6日間の売上額は56億3473万2300円で目標額(55億円)をクリアした。このダイヤモンドカップは、1M側の新スタンドなどが整備されたことを記念して開催された。

■ヒーロー
準優1号艇で6着に敗れた蒲郡のSGダービーからほんの3週間。福岡が誇る若きVハンターが、お隣のとこなめでその雪辱とも言えるGⅠ初制覇を達成した。多くのファンに囲まれた表彰式では「最高です!」と声を弾ませ、「ホッとしました」。1番人気としての使命を果たせたことに大きく息をついた。
素性抜群の相棒のパワーを最大限に生かし切った。「前検からいいエンジンの体感で、ずっと足は良かった」。予選は3、4コースからも白星を挙げて計3勝。予選順位こそ3位で、巡り巡ってきたファイナルの1号艇ではあったが、その枠番にふさわしいだけの仕上がりを誇っていた。
さらにここで生きたのが、ダービー準優の敗戦。「あの時の方が緊張していたし、落ち着いてもいなかった。あの経験があったから落ち着いて行けた」。FすれすれのSも「一度アジャストして、そこからは全速」と冷静に決めたもの。「バッチリでした」。1Mもいつも通りに的確に好ターンを決めた。
これで、まだ出場権を持たなかった来年3月のSGクラシック(戸田)行きの切符を獲得。「ここで勝って決めたい」とシリーズ序盤から話していた目標を見事に現実化した勝負強さは、昨年10回もVを挙げた決定力のなせる業だっただろう。
昨年はGⅡ、今年はGⅠを制し、次の狙いはもちろん、「SGで勝つ」。今回の優勝戦はSG覇者4人を相手に制したとあって「自信になる。自分も、今回の優勝戦のメンバーのようにボートレース界を代表する選手になりたい」。さらに言えば、くしくも同じ筑豊出身の九州のエース瓜生正義のGⅠ初Vもとこなめだった。同じ水面での第一歩を励みに、ビッグスターへの道を歩んでいく。(深堀慎一郎)
■プロフィル
◆新開航(しんかい・わたる)1996年2月12日生まれ。福岡県飯塚市出身。嘉穂高―宮崎大中退。登録番号4932。2016年5月デビューの118期。2年目の18年1月に芦屋で初Vを挙げ、22年に大ブレーク。6月の芦屋モーターボート大賞でのGⅡ初Vも含めて10度のV。さらに1着125回で「最多1着」のタイトルも獲得。年末には大村グランプリシリーズでSGに初参戦し、今年はクラシック、オールスター、ダービーと3大会に出場。GⅠは今年9月の下関ヤングダービーで初優出(6着)、前節の若松周年で2度目の優出(2着)をしたばかりだった。165センチ、52キロ、A型。

