【住之江ボート(ナイター)SGグランプリ】開幕直前連載企画8 山口剛 大失態をバネに技術増強
ボートレース界最高峰の一大決戦、SG「グランプリ(GP)」が19日から住之江ボート(大阪市)で開催される。第38回を迎える今大会から優勝賞金が1億1千万円(前回は1億円)に増額。出場の18人は、史上最高額を懸けたバトルにそれぞれの思いを乗せて臨む。
<選出11位・山口剛>広島支部・41歳=2年連続3回目
大失態をただの失敗にしなかった。昨年のGPのトライアルで勇み足を犯した山口剛が、その罰則を乗り越え、より強さを増して再びこの舞台に立つ。
「賞金のことは一切考えなかったし、正直、今年出られるとは想像していなかった。一般戦でもしっかりやりきれた積み重ねと思う」。相当に細い道を夢中で歩き続けたら、知らずに目的地にたどり着いていた。
罰則により、今年前半はオール一般戦。「(記念戦線を離れて)下手になることは覚悟していた。でもスタートだけは自分自身で鍛えられる。それを一番のモチベーションにして、平均タイミングはすごく上がった」。スタートをただ決めるだけでなく、「展示と本番で起こし位置を変えても決めることをテーマにやってきた」。コース取りが激しく、起こし位置なんて不確定で当たり前のGPでも生きる技術を身に付けた。
もう一つ、強力なアイテムを携えて臨む。「真冬の近畿地区の淡水は苦手。でも、11月の三国のSGで太田和美さんの後のエンジンを引いて、ペラの形がすごく参考になった。住之江のGPでも武器になると思う」。新生ツヨシがこの冬、鬼門を克服する。