ボートレース

〝鬼〟はやっぱり来年の話を笑った 江口が114回目V 西日本スポーツ杯【戸田】

戸田ボートの西日本スポーツ杯を制した江口晃生

 戸田ボートの「ボートピア栗橋カップ開設13周年記念・西日本スポーツ杯」は5日目最終日の12日、12Rで優勝戦を争い、1号艇の江口晃生(58)=群馬=がイン逃げで今年初Vを果たした。通算では114回目の優勝。戸田ではG1の1回を含めて6度目。2着は2号艇の入澤友治、3着は4号艇の山谷央で、3連単は1280円の4番人気。福岡支部から唯一の優出だった3号艇の山ノ内雅人は懸命のまくりも届かず、次位争いからも後退し、4着だった。

■ヒーロー

 ベテラン力に磨きが掛かるばかりの江口晃生が、後輩5人を一蹴した。ほぼ横一線のスリット隊形に持ち込むと、誰にも脅かされずに堂々のイン速攻劇。「1号艇はやっぱり緊張する。Sからずっと緊張していた」。しかし、それが余計な重圧にならないのが強豪たるゆえん。「本当に会心の逃げだったと思います」。4日目に58歳を迎えた熟練のターンに他艇の付け入る隙は一切なかった。

 相棒は2連対率23%の低実績機。それを日ごとに上向かせ、充実のパワーで優勝戦に臨んだ。「レース間特訓の後にペラを調整し直して、これはきたなという感触があった」。慢心せず、ぎりぎりまで最善を尽くすこの執念こそが数々の戦歴の裏付け。予選は2位ながら、準優の結果によって優勝戦1号艇が手に入り「流れが良かったね」。それも確かだが、「仕上がりが間に合ってよかった」。序盤の伸び不足を最終的には解消し、チャンスをものにできる態勢を整えていたことが好結果を生んだ。

 今年のクラシック(3月平和島)の権利は手にできなかったが、来年のクラシックはこの戸田で開催という縁。ただ「それは先のことだから」。〝インの鬼〟は来年の話を笑い飛ばし、「一走一走を頑張るだけですよ」。何事も日々の積み重ねであることを誰よりも知る。目の前の一戦にベストを尽くす姿勢を貫き、これからも後輩たちの前に立ちはだかる。(深堀慎一郎)

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