【福岡ボート・一般】石本裕武 見据える視線は常に〝先〟

勝負に勝ってレースに負けた。初日8Rで石本裕武(23)=大阪=は5コースから強烈なまくり差しを決めて抜け出したが、1周2Mでややターンが流れて山室展弘に逆転を許して2着。「もったいないことをしてしまいました」とうなだれたが、レース内容はピカイチで今節の活躍を予感させた。
まだペラ調整は試行錯誤している段階だが、「まだ全部の足が普通だけど悪くない」と中堅レベルの足は十分。しかも、初日は1回走りでたっぷり調整に時間を割けたことで、「いろいろ試したけど、結局は前操者の久富(政弘)さんの形が良さそう」と初日にして調整の方向性が定まったのは大きな意味を持つ。
前期(5~10月)はまだデビュー2期目ながら、勝率5.69をマークしてA2級に昇格。来年は住之江のフレッシュルーキーにも選出されたが、今期は既に現在勝率で6.66をマークしており勢いは加速度を上げて増している。「来年の目標は最優秀新人になることです。そのためにもA1になって初Vも決めて、最終的にはトップルーキーに昇格して終わりたい」
あふれるセンスはもちろんだが、努力も怠らないのが強さの秘けつ。先月に出場した当地の一般戦は予選落ちを喫したが、予選が終わった後も最終日のギリギリまで水面に出て練習を繰り返していた。「今節のあっせんが決まっていたから、少しでも水面を手の内に入れたかったので。今節はあの経験を生かしてリベンジしますよ」。常に先を見据える姿勢はSGレーサーとしての重要な資質。大阪の次世代エースが、今年の最後に特大の輝きを放つ。(森 大輔)