【佐賀競馬・JBCクラシック】ウィルソンテソーロがGⅠ初制覇 地元Vに鞍上の川田将雅は感涙
■ヒーロー
生まれ育った故郷に大きな錦を飾った。24回目にして初めて佐賀で行われた今年のJBCクラシック。1番人気ウィルソンテソーロ(牡5歳、美浦・小手川)を鮮やかに駆り、初のビッグタイトルをもたらした主役に盛大な〝川田コール〟が降り注いだ。
普段はしないガッツポーズ、ウイニングランもこの日だけは特別だ。懐かしさと心地よさを感じながら、ゆっくりと1周。スタンド前でヘルメットを取り、馬上で深々と一礼すると自然と涙がこみ上げた。「僕はこの小さな佐賀競馬場で生まれ育ちました。いろんなところでレースをさせてもらっていますが、地元でGⅠを勝つことがこんなに感極まるんだと。騎手冥利(みょうり)に尽きる」と目頭を赤く染め言葉を紡いだ。
「ゲート裏を回っているときに、あそこで僕はちびっ子相撲の練習をしていた」と笑うやんちゃだった少年も、今や日本を代表するトップジョッキー。3日のBCクラシックから強行軍で帰国しての凱旋(がいせん)騎乗も、手綱さばきはさえ渡った。道中は先団の後ろでじっくりと構え、2周目3角から内を突き先頭。必死のステッキで奮い立たせ、後続を完封し切った。
大舞台での惜敗が続いた相棒に鞍上は、「必ず勝つ競馬をしたかった。一歩一歩成長してGⅠ馬までたどり着いてくれた」と優しくほほ笑む。開業5年目でうれしい初のGⅠ級タイトル制覇となった小手川師も、「何が何でもウィルソンにGⅠを勝たせてあげたかったけど、逆にこちらが勝たせてもらった」と愛馬に頭を下げた。
今後については馬の状態を見つつの判断だが、国内制圧あるいは世界も視野に入ってくるだろう。頼もしい名手とともにつかんだビッグタイトルは、まだ手始め。軌道に乗ってきた5歳馬には、輝かしい未来が待っている。
■勝ち馬の略歴
◆ウィルソンテソーロ ▽牡5歳・鹿毛▽父キタサンブラック、母チェストケローズ(母の父アンクルモー)▽馬主・了徳寺健二ホールディングス(株)▽生産者・北海道日高町リョーケンファーム(株)▽戦績・19戦8勝(うち地方7戦4勝、海外2戦0勝)、重賞は2023年かきつばた記念・名古屋JpnⅢ、マーキュリーC・盛岡JpnⅢ、白山大賞典・金沢JpnⅢ、JBCクラシック・佐賀JpnⅠ(1着賞金1億円)の4勝▽総収得賞金・4億6466万9800円(うち地方2億5100万円、海外1億1984万1800円)▽小手川準調教師は初勝利、川田将雅騎手は19年チュウワウィザード、20年クリソベリルに続き3勝目。
■メイショウハリオは復活の2着
GⅠ級3勝の実績馬メイショウハリオが復活をアピールだ。勝ち馬には離されたものの、3コーナーからまくり気味に追い上げて2着を確保。昨年の帝王賞で連覇を達成して以降は不振に陥り、初の海外遠征でも取り消しなど歯車が狂ったが、ようやくトップクラスの地力を示した。「今回は調教から気配が良く、手応えもあった。結果だけが残念です」と濱中俊。再び王者に返り咲く手応えはつかんだ。
■戦い終わって
キリンジ(3着)「前との差は開いたけど、この馬の競馬はできた。切れる脚はないが、3コーナー過ぎから長く良い脚を使った」(笹川翼)
ノットゥルノ(5着)「流れとしては悪くなかった。勝つ時と負ける時の波がある。今日は3コーナー過ぎから行きっぷりが悪くなった」(武豊)
ウィリアムバローズ(6着)「自分のペースでリズム良く走れて雰囲気も良かった。最後まで走ってくれたと思う」(坂井瑠)
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