GⅢ開設74周年記念「大阪・関西万博協賛 火の国杯争奪戦」

熊本競輪 GⅢ開設74周年記念
「大阪・関西万博協賛 火の国杯争奪戦」
「悔しさなくなれば辞める」中川誠一郎インタビュー

  • Sponsored by 熊本競輪

 熊本記念が9年ぶりに、火の国に帰ってくる。熊本競輪(熊本市中央区)のGⅢ開設74周年記念「大阪・関西万博協賛 火の国杯争奪戦」が10月3日、開幕する。2016年4月の熊本地震で被災した熊本競輪場はその直後から本場開催休止を余儀なくされた。だが施設を改修して今年7月、再開。その間、この大会は久留米競輪場で代替開催され、開設65周年記念以来の熊本での戦いとなる。再開後の熊本のファンは以前にも増して熱狂的になっており、地元記念ではさらにヒートアップしそうだ。もちろん地元選手も、声援に応えるべくハートは燃えたぎる。地震直後のGⅠ日本選手権を劇的に優勝するなどして熊本競輪復活の旗手となった中川誠一郎(45)=熊本・S級1班・85期=も今回の注目選手。現状と大会への思いをインタビューで聞いた。

今年8月、ファン投票で選出されてGⅠオールスター(平塚)に出場した中川誠一郎

中川誠一郎(なかがわ・せいいちろう)
 1979年6月7日生まれ。熊本市出身。真和高卒。高校まではバスケットボールや陸上短距離の選手だったが、自転車競技での五輪出場を目標に、いとこの瀬口慶一郎(77期=引退)に弟子入りして競輪選手を目指す。日本競輪学校に85期で合格し卒業記念レース優勝。2000年8月、熊本支部でデビュー(熊本1、1、決勝1着)。通算成績は1794走で522勝、優勝55回。通算取得賞金は7億7247万3255円。GⅠ制覇は16年5月の日本選手権(静岡)、19年2月の全日本選抜(別府)、同年6月高松宮記念杯(岸和田)。自転車競技ナショナルチーム・トラック短距離でも活動し、五輪は12年ロンドン(チームスプリント8位、スプリント9位)、16年リオ(スプリント25位)に出場。174センチ、78キロ、太もも62センチ、AB型。

 ――近況の状態面はいかがですか。

 「厳しいですね。練習の感じも良くない。量もできなくなっているし、刺激も入りづらくなっている。熊本記念に向けて上げていきたいのはもちろんですが、なかなかうまくいきません」

 ――パワーが今までのようには出ない感じですか。

 「そうですね。こんな経験は今までなかったし、それがレースで続くとモチベーションが上がらなくなってくる。悪循環です」

 ――熊本での記念はモチベーションを上げるきっかけになりませんか。

 「一発目(7月の熊本競輪再建記念FⅠ)があんな感じだったので自信がないし、状態の上げ方が分からない。以前のように練習をやっても、上がってこない。それなのに疲れる。どうすればいいのか分からない感じです」

 ――その再建記念FⅠでは残念ながら準決で敗退でした。

 「モチベーションは上がっていました。体調は悪くなかったので、しっかり走らなきゃと思ったんですが、体がついてこなかった」

 ――自力一本でやってきただけに、パワーが出ない現状の打開が難しいのでしょうか。

 「そうですね。いつかこうなることは分かってはいたんです。でも自分がタイトルを取るには、自在にやるよりもタテに特化するべきだと思ってやってきた。それでGⅠを取れたので、その選択は間違っていなかったと思います」

 ――長所だけを伸ばし続けた感じですね。

 「10対0で、タテでやってきました。でも50歳まで自力で勝ち続けるような人はいない。今の自分は脚がなくなってさまよっているけど、いつかこの日がくると覚悟はしていました」

 ――そのタテ脚で、五輪に2回出場しました。

 「20代は、どちらかといえば競輪のタイトルを取るよりも五輪に行きたくてやっていました。北京五輪に出られずに諦めかけたんですが、やって良かったですね」

 ――五輪ではもう少し結果を残したかったのでは。

 「ロンドンのスプリントでは3、4位に行けるかなという組み合わせの感じだったし、悔いが残っていないわけではない。でも、プレッシャーに負けたのも実力かなと思います」

 ――熊本地震直後の2016年5月、リオ五輪に専念する直前のダービーでGⅠを初制覇。熊本競輪復興の先頭に立つ形になりました。

 「そうですね。そこからは頑張ってきたつもりです。何とか復興したので、その意味ではしっかり役目は果たせたのかなと思います」

 ――市議会で傍聴している姿がよく報道されていました。

 「選手が言うだけでは無理だと思ったので、議会などで声を上げてもらって、話し合ってもらいました」

2019年6月、岸和田での高松宮記念杯で3度目のGⅠ制覇を果たし、九州勢に胴上げされる中川誠一郎
  • 1
  • 2
  • Twitter
  • Facebook
  • Hatena

企画・制作/西日本新聞社デジタル事業部