【小倉競輪(ミッドナイト)FⅡ】江口晃正が29年の選手生活に別れ「本当に人や環境に恵まれていました」

今シリーズを最後に江口晃正(49)=長崎・75期・A3=がバンクを去る。1995年にデビューし、丸29年。「人を争うことが苦手だったし、そもそもプロの選手に向いていなかった」と話すが、「選手で、本当に厳しかった父(勝利、16期)に認めてもらいたい」の一心で努力を重ね、S級に通算20期(約10年)も在籍した。
思い出のレースは、初優勝を飾った1997年10月の門司戦。「同期で、いま選手養成所の教官をやっている友田雄介君が先頭で思いっきり引っ張ってくれた。自分の後ろが江嶋康光(39期)さんでしたね。2角から出て行くことになって最後は苦しかったけど、何とか押し切りました」。新人リーグデビューから数えること2年半、ようやく手にした初Vが今でも忘れられない。
思いも寄らないケガで競輪人生が暗転した。2020年4月の中旬から約1カ月間、新型コロナウィルスの爆発的流行で全国的に開催が中止となった。これを好機とばかりに筋トレや陸上トレを敢行。ひそかにA1復帰を目指したが、不運にも半月板が裂ける〝致命傷〟を負ってしまった。
「あれで選手として終わりました。だけど後悔はしていません。自分なりにやり切りました。師匠の平尾昌也さん(58期)をはじめ、本当に人や環境に恵まれた選手生活でした。感謝でいっぱいです」。今後は尊敬する兄の仕事(塗装業)を手伝いながら、第二の人生を多角的に模索していく。