競輪

【久留米競輪・GⅢ開設記念】山崎賢人が2度目のGⅢ制覇、パリ五輪ではなく競輪で頂点狙う

  久留米競輪の令和6年能登半島地震復興支援競輪 大阪・関西万博協賛GⅢ「開設75周年記念 第30回中野カップレース」(優勝賞金520万円)は25日、最終12Rで決勝を行い、九州ライン3番手の山崎賢人(31)=長崎・111期・S1=が直線で追い込んで、今年初参戦となった競輪を優勝で飾った。2着は九州勢の後位から捲って終3半で先頭に立った森田優弥、松浦悠士マークから伸ばした田尾駿介が3着に入った。山崎のGⅢ制覇は2018年11月の取手記念以来、通算2回目。4日間の総売上額は59億6785万4000円で、目標の57億円を大きく上回った。

表彰式で中野浩一氏(左)に優勝の賞金ボードを手渡される山崎賢人

ヒーロー 
 梅雨空の下で悔しさを晴らした。努力はパリではなく、まずは久留米で花開いた。先月29日、パリ五輪の自転車競技代表選手が発表され、山崎賢人はパリに帯同せず国内に滞在するリザーブとされた。帯同リザーブの次の選手になるため、パリ五輪への出場は可能性がほぼない。「選考に納得はしている」としながらも、ナショナルチーム(NT)に在籍した4年半の時間からも、簡単に割り切れるものではないはず。その無念を、日本自転車競技連盟の中野浩一強化スーパーバイザーが冠の大会にぶつけた。

 昨年11月のGⅠ競輪祭の後は競技に専念した。オリンピアンとなり、メダリストとなるために鍛錬を積んだ。「すごくいい環境で練習させてもらった。レベルアップできている」。その自転車競技のためのトレーニングは、5年7カ月ぶり2度目のGⅢ制覇につながった。

 伊藤颯馬が新山響平を打鐘前に叩き切り、嘉永泰斗が番手捲り。山崎は単騎で嘉永を捲った森田優弥の後位に付き直し、直線で抜き去った。それでもこのVに満足はしていない。「今回は九州3番手。ラインのおかげで勝てた。次は先頭で走れるように。自分の力をもっと上げたい」。NTの一員にふさわしい、圧倒的パワーでの勝利を欲した。7月はGⅡサマーナイトフェスティバル、8月はGⅠオールスターに出走予定。九州の自力型の核として、この勢いをビッグ初制覇へと向ける。

 この決勝で連係した伊藤、嘉永らと力を合わせれば、松浦悠士や新山らSS勢を倒せることが分かった。〝ミスター競輪〟の名を冠した大会から、山崎の、そして九州勢の逆襲が始まった。(野口雅洋)

プロフィル
 ◆山崎賢人(やまさき・けんと)1992年12月17日生まれの31歳。長崎県出身。長崎日大高―日大ではバレーボールで活躍。だが身長に恵まれず競輪選手を目指し、111期で日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)に入学。在校成績は2位、卒業記念レースは①①①❷。2017年7月、長崎支部でデビュー(久留米①①❶)。19年に自転車競技のナショナルチームに加入。22年トラックアジア選手権のスプリントで優勝するなど国際大会でも好成績を残した。通算成績は358走で128勝、優勝は21回。GⅢ制覇は18年11月の取手記念以来2回目。師匠は山口幸太郎(99期)。ホームバンクは佐世保。175センチ、77キロ。

決勝VTR
 菅田と阿部がS出て、新山―菅田―阿部の北日本、松浦―田尾の中四国、伊藤―嘉永―山崎の九州、単騎の森田で周回。

 伊藤が赤板手前から踏み上げると、新山もスピードを上げて抵抗したが、伊藤が踏み勝って打鐘で九州が先頭。森田は九州後位の4番手。

 8番手となった松浦が終HSから捲りに行き、北日本の外まで進出。嘉永は2角で伊藤の番手から抜け出しを図るが、山崎後位にいた森田がさらに上を捲り3半で先頭。松浦も森田を目標に迫ったが、山崎が3半でブロックして後退。

 山崎は捲られた嘉永から森田に切り替えて直線で伸ばして1着。森田2着。3着は山崎に切り替えた田尾。

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