競輪

【佐世保競輪(ミッドナイト)GⅢ】「ドラマを作りたい」決勝で双子連係へ/瀬戸晋作・栄作インタビュー/7月16日開幕

 「こんにちは、コンバット満です! 長崎県の佐世保競輪場にやって来ました。いつもは西日本スポーツさんのユーチューブで福岡ボートの予想をするなど、ボートレースを楽しんでいますが、最近は競輪にも興味の幅を広げています。今回は全国初のミッドナイトGⅢ「WTミッドナイトGⅢ」(7月16~18日、優勝賞金300万円)に出場予定の瀬戸晋作選手(31)=長崎・107期、S2=と、瀬戸栄作選手(31)=長崎・109期、S2=の双子の兄弟に直撃インタビュー。大会への意気込みなどを聞きました」

佐世保競輪場の走路をバックに、左からコンバット満、瀬戸晋作、瀬戸栄作

瀬戸晋作(せと・しんさく)
 1993年6月8日生まれ。長崎県出身。鹿町工高の自転車競技部で活躍後、2014年に日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)に107回生で入学し、在校28位で卒業。15年7月3日、佐世保でデビュー(3、1、1着で優勝)。家庭では3児の父。ホームバンクは佐世保。170.4センチ、70.2キロ、A型。

◆瀬戸栄作(せと・えいさく)
 1993年6月8日生まれ。長崎県出身。鹿町工高の自転車競技部を経て、2015年に日本競輪学校に109回生で入学し、在校32位で卒業。16年7月3日、高松でデビュー(2、3、3着)。21年6月平塚でS級初優勝を完全優勝で達成。ホームバンクは佐世保。家庭では2児の父。167.0センチ、72.0キロ、A型。

◆コンバット満(こんばっと・まん)
 1969年8月14日生まれの54歳。静岡県島田市出身。福岡吉本の1期生として博多華丸・大吉、カンニング竹山らとともに芸能界にデビュー。福岡の人気番組だった『ドォーモ』のMCを務め、スポーツ番組、ラジオなど福岡を中心に多岐に活躍中。2022年3月に福岡吉本を退社し、現在はフリー。174センチ、A型。

弟の瀬戸栄作より1年先にデビューした瀬戸晋作(左)と交通事故での大けがを乗り越えて競輪選手となった瀬戸栄作(右)

 ――コンバット満(以下、満)「双子のお兄さんが晋作さん、弟さんが栄作さんですね。2人はいつ頃から競輪選手になりたいと思ったのですか」

 晋作(以下、晋)「高校に入る頃です。父が競輪ファンで、自転車競技部のある鹿町工高の一択だったんです。そこ以外はダメだ、鹿町工以外なら働け、金は出さんぞと。本当はバスケットがしたかったんですが」

 ――満「お父さんはえらくスパルタですね。栄作さんはどうだったんですか」

 栄作(以下、栄)「自分はバスケがうまくなくて…。しょうがないかと…。晋作はバスケで推薦が来ていたくらいだったけど」

 ――満「今となっては2人とも競輪選手になっていますね」

 晋「よかったです。バスケでは選手になれていないと思うので」

 ――満「競輪選手になったのはお兄さんが先ですね」

 晋「はい。競輪学校(現・選手養成所)を一緒に受けていて、自分は3回目で合格しました」
 栄「僕は4回目。3回目の試験前に交通事故に遭って…。練習中に車と当たってしまったんです」

 ――満「どんな交通事故だったんですか」

 栄「生死をさまようくらい。肺に穴が空いてしぼんで、小さくなった。集中治療室には2週間ほどいました。起きたらみんな集まってました」
 晋「自分は病院に呼ばれて。ドラマじゃないけど。『何があるか分からない。もしかしたら明日、亡くなっているかも』と。そんな感じでした」

 ――満「うわっ、それは大変。晋作選手も心配だったでしょう。3回目の受験へ向けて、どんな気持ちだったんですか」

 晋「やはり、栄作の分まで頑張ろうというのはありました。合格したら『よっしゃー』でしたね」
 栄「だけど、その後にやめるかやめないかくらいまでいったよね」
 晋「事故を受けて…。死と隣り合わせじゃないですか。危ないなと。やっぱりやめようかなとも思いました。でもやめずに良かった」

 ――満「晋作さんにとっても大きな事故だったんですね。栄作さんこそ、その事故で選手を諦めようとは思わなかったんですか」

 栄「競輪以外の仕事を探しましたね。でも、ないなーって。それで退院して練習に集中したら、次の年に受かりました」

 ――満「サラっと言ってますが、かなり大変だったはずですよね」

 栄「最初は歩くだけでもしんどかったですね。車椅子生活だったんで。でも練習を始めてからはスイッチが入りました。晋作に続きたいという思いで頑張りました」

 

■「よくやったぞ栄作」「晋作だよ」

2020年12月、初の地元記念に臨む前検日の瀬戸晋作

 ――満「普段の練習は一緒にやっていますか」

 晋「基本的には一緒です。ただ、割り切ってます」

 ――満「えっ! 仲、悪いんですか」

 晋「あまりしゃべらないだけで(笑)。お互いの家には行きますよ。子どもたちがよく遊んでいます」

 ――満「2人は一緒のレースになったことはありますか」

 晋「ないです。基本的に親子や兄弟などは一緒のレースで走らないんです」
 栄「GⅢ以上の決勝など、別々にできない状況でないと一緒にならない。だから、今回はチャンスです」
 晋「簡単ではないですが…。2人で選手になった以上、その経験は一回はしてみたいですね」

 ――満「今回はミッドナイトですが、昼間のレースとの違いはありますか」

 晋「全然違いますね。レースを走る時間がすごく遅いです」
 栄「無観客ですし、遅い場合は23時以降に走るので。正直、眠たいんですよ」

 ――満「相手だけでなく、睡魔とも闘うんですか」

 栄「普段は寝ている時間なので…。あとは日中が暇過ぎて、レースに入るまでの時間が長い。集中力を切らさないのが難しい」

 ――満「お兄さんは?」

 晋「自分も眠たいです。いつもは早寝早起きなので。若い頃はいつでも眠れたけど、最近は寝られなくなっています」

 ――満「もうですか。早いですよ。31歳で。ところで競輪の魅力は何だと思いますか」

 栄「競輪は脚力、人力の競技。ボートレースなどとはまた違った迫力があると思います」
 晋「今回は無観客開催ですが、チャンスがあればぜひ競輪場に来てほしいですね。風を切る音やタイヤの摩擦音、競り合った時のヘルメットがぶつかる音が聞こえます」

2020年12月の佐世保記念初日、佐藤幸治(左)とワンツーの瀬戸栄作

 ――満「逆にファンからの声も届きますよね」

 晋「はい。声援は励みになります。いい走りをしたときはスタンドからよく『よくやったぞ、栄作!』という声が聞こえます。『いやいや、晋作だよ』と」

 ――満「『コジマだよ!』みたいな。それって観客は分かって叫んでますよ、きっと」

 栄「自分も声援は力になるんですが、逆にヤジでへこんだこともあります。『お兄ちゃんの方が強いぞ!』と言われて、かなりグサっときました」

 ――満「どうしても比較されてしまいますよね。最後に地元GⅢへの意気込みをどうぞ」

 晋「大きいことは言えませんが、優勝できるように。あっせんが出た時から優勝を目指しています」

 ――満「まあまあ大きいこと言っていますね。でも、戦う以上はそうでないと」

 栄「GⅢのミッドナイトは初めてで注目度も高いと思うので、優勝して目立ちたいですね」

 ――満「2人の決勝進出を見たいです。鳥肌立ちます。それでどちらかが優勝すれば、もっと鳥肌立ちます」

 晋「ドラマを作りたいですね」

瀬戸栄作(左)と瀬戸晋作(手前)の話に驚きの表情を見せるコンバット満

 ――満「(インタビューを終えて)とにかく2人の脚の太さがハンパない。太ももの迫力に驚愕! それに、双子でも性格がだいぶ違うようで印象的でした。晋作選手が『栄作は自分と違って腹黒い。いい意味で』と言っていましたし。インタビューして、競輪の奥深さ、勝負している男のかっこよさを感じました。競輪に、がっつりハマりそうです!」

 

■ミッドナイト競輪とは
 夜9時~11時半ごろに無観客で行われる、主に3日制の競輪開催。ネット投票、ネットなどのライブ中継で楽しむ。7車立てで、通常のレースとは違って競走得点が高い順に内枠から並べられる。通常はFⅡとして、A級1、2班戦、チャレンジ戦(A級3班戦)、ガールズ戦を組み合わせて行われる。だが昨年度はFⅠを5開催行うなど、近年はS級戦も増えてきた。今回は初のグレードレース(GⅢ)。5月にGⅠ日本選手権を制した平原康多などS級49人が参加し、3日制7個レースを行う。ガールズケイリン2個レースも併催される。

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