競輪

【別府競輪(ナイター)GⅢ開設記念】阿部将大 特別インタビュー/今年6V!イクメン絶好調/7月25日開幕

 別府競輪では初となるGⅢナイターが25日、開幕する。開設74周年記念「オランダ王国友好杯」は、SSの古性優作、松浦悠士、山口拳矢が出場予定。浅井康太や松井宏佑ら、大会V歴のあるトップ級も参戦して、4日間にわたり戦いを繰り広げる。九州勢で主力を担うのが地元の阿部将大(28)=大分・117期・S1。今年は絶好調で、2月に前橋FⅠで平原康多らを破って優勝すると、4月のGⅢ高知記念ではSS4人を相手にV。続く別府FⅠでは犬伏湧也を捲り切って地元S級初制覇。5、6月も、別府FⅠ、函館GⅢ、高松FⅠと優勝を重ねており、今まさに〝無双〟状態だ。大分勢が別府記念を制したのは2001年の51周年(前節・小野俊之、後節・渡邉隆)が最後で、翌年4日制となってからは誰もいない。大分の若大将が、最高の状態で地元記念Vに挑む。

好調をキープしたまま地元記念を迎える阿部将大

◆阿部将大(あべ・まさひろ)
 1996年6月14日生まれの28歳。大分県杵築市出身。杵築中では陸上競技部(中距離)。日出暘谷高で自転車競技を始め、鹿屋体大でも自転車競技部。日本競輪選手養成所に117回生で入り、2020年5月29日の小倉ルーキーシリーズでデビュー(決勝3着)。7月の別府での本格デビューから3場所連続完全VでA級2班に特別昇班。22年1月にS級へ昇級。S級初Vが同年3月の高知GⅢ(施設整備等協賛)。23年は9月に弥彦、12月に久留米でFⅠ優勝。24年は2月に前橋FⅠを優勝すると、4~6月には高知記念GⅢ、別府FⅠを2回、函館GⅢ、高松FⅠと次々に優勝。GⅠ出場は22年競輪祭(小倉)、23年日本選手権(平塚)、寛仁親王牌(弥彦)、24年日本選手権(いわき平)。通算331走125勝。通算取得賞金は9849万4148円。ホームバンクは別府、師匠は山崎翼(95期)。174.1センチ、74.2キロ、A型。

 

■昨年はインフルで途中欠場

選手道場でローラーに乗る阿部将大

 ――昨年12月の前回大会でも意気込みをインタビューしました。でも結果は途中欠場。

 「長男が熱を出してしまって、前検日の朝に病院へ連れて行ってから競輪場入りしました。そしたら子どもからインフルエンザがうつっていたみたいで。気合を入れて臨んでいたけど、仕方ないですね」

 ――前回は初日に1予を勝ち上がったのに、2日目から欠場でした。

 「初日はどうにか勝ち上がれましたが、レースが終わった後からすごくきつくなって。夜中にはガッツリ発熱していました」

 ――初の地元記念だっただけに残念でしたね。

 「期待を感じていたし、大分勢も数多く勝ち上がっていたので、一緒に走りたかったです」

 ――大塚健一郎さんらが走った決勝は見ていましたか。

 「はい。きつかったけど、寝ながら見ていました。あ、大塚さん落車しちゃう…って」

 ―――でもかわいいお子さんからうつった病気なら仕方ない面はあります。お子さんは3人とのことですが、育児は大変ですよね。

 「その長男は1歳10カ月になりますが、本当に手がかからない。すごく良くできた子です。1人で遊んでいてくれるんですよ。自分と妻が8カ月の双子の女の子の面倒を見ているという感じ。なので、むしろ長男には感謝しかないですね」

 ――とはいえ2歳未満が3人もいる家庭。大変さが想像できません。

 「両親の手助けがあるのでどうにかやれていますが、確かに大変ですね。夜寝る前の4時間ほどが特に。でも、それも慣れてきた感じがあります。家庭があるので、練習も量というより質を高めるように考えてやっていて、それが最近の成績にもつながっていると思います」

別府バンクで牧剛央と練習する阿部将大(先頭)

 ――今年の上半期で6回の優勝。特に4月以降はGⅢ2回を含む5Vと勝ちまくっています。

 「大師匠(師匠の師匠=三好林太郎さん・46期・引退)から『自分が勝つレースをしなさい』と言われたこともあって、1着を狙う競走をやってみたんです。そしたら思った以上に勝ててしまったという感じです」

 ――S級で、短期間にここまで優勝する選手は、あまり見ません。

 「1着が増えたことで徐々に自分から(車券が)売れるようになって、ますます1着を取らなければと感じるようにもなっています。その状況に身を置くことで、レース展開を読む力がついてきたと思いますね。最善策が取れなくても、次善の策、妥協案みたいに状況に応じて考えられています。それにもちろん、調子は上がっていますね」

 

■SSを破って高知記念優勝

4月の高知記念で2度目のGⅢ優勝を遂げた阿部将大

 ――4月、GⅢ高知開設記念の決勝はS級S班の清水裕友選手を差してのV。ほかにも佐藤慎太郎、深谷知広、新山響平、犬伏湧也、坂井洋とトップ級の選手と走っての栄冠でした。

 「長い距離を行ったわけではないし、それまで脚を使っていなかったので何とも言えないんですが、いい位置を取ることだけはしっかりやりました。そしてやはり、自転車はすごく進みましたね。サラ脚なら清水さんを差せるんだと自信になりました」

 ――地元でも4月、5月とFⅠを2回優勝しました。

 「最初の優勝は犬伏さんに勝つことだけを考えて走りました。2回目は立部楓真君の番手だったし、彼のおかげです」

 ――観客席からの声援は感じましたか。

 「すごかったですね。思った以上にお客さんの数が多くて、応援の声が力になりました。優勝して『おめでとう』とも言ってもらえたし、みんなで喜べて、やはり地元は格別ですね」

 ――かなり別府周辺でも有名になったんじゃないですか。

 「いやいや、それはさすがにないですよ…。あ、でもそういえばこの前、行きつけのロードバイクの自転車屋さんたちと食事会をしていたら、『阿部選手ですか』とお店の中でお客さんから声をかけられました。初めてのことです」

 ――やはり知名度は上がっていますね。阿部選手の活躍で、ほかの大分勢も刺激を受けているという話をよく耳にします。

 「人づてに、師匠の山崎翼さんが僕の活躍を励みにしていると聞いたことはあります。それに、自分の活躍が関係あるかは分かりませんが、練習仲間で今回も出場予定の大西貴晃さんが頑張っている姿を見ます。うまくみんなを巻き込んで、大分を活気づけられればとは思っています」

【写真左】昨年12月の別府記念前検日、別府駅前にある「油屋熊八の像」をまねる阿部将大【写真右】5月のGⅠいわき平日本選手権の宿舎に大量のマンガを持ち込む阿部将大

 ――サマーナイトFの前の段階では112点と、今大会の九州勢では最高得点。地元記念へファンの期待も大きいと思います。

 「大塚健一郎さん、小岩大介さんらも出場するので、みんなで勝ち上がりたいですね。本来はもちろん自分だけでなく、ラインで勝ち上がることが目標なので。いっぱい引っ張り込みたいです」

 ――目標はどこに置いていますか。

 「決勝には乗りたいですね。今年は調子がいいので、このままの状態で行ければ乗れるんじゃないかという感覚はあります」

 ――記念優勝を狙えるレベルにあることは実証済みですよ。

 「それは決勝に乗ってからですね。地元勢を含めて九州勢がたくさん乗ればチャンスは増えると思います」

 ――最後に、ファンの皆さんに向けてひと言お願いします。

 「大分勢がたくさん出場するので、応援よろしくお願いします。今年は真夏ですが、ナイターなので少しは過ごしやすいと思います。ぜひ来場してください。ご声援に応えられるよう精いっぱい頑張ります」

  • Twitter
  • Facebook
  • Hatena

関連ニュース

  • Twitter
  • Facebook
  • Hatena