【別府競輪・GⅢナイター】阿部将大 特別インタビュー/地元で無双状態 「期待に応えて勝ち切りたい」/10月11日開幕
「大阪・関西万博協賛/別府市制100周年記念事業 別府競輪GⅢナイター」は11日、幕が上がる。81人が全国から集合し、4日間の熱戦を繰り広げる。最も注目すべき選手は7月の当地GⅢ開設74周年記念を制した阿部将大(28)=大分・117期・S級1班=だ。この大会で5度目のGⅢVを目指す。9月のGⅡ共同通信社杯を病気欠場したが回復基調。何より今年は3度の地元戦を全て完全優勝している。別府バンクでは無類の強さを誇る豊後のエースが、現状と意気込みを語った。
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◆阿部将大(あべ・まさひろ)
1996年6月14日生まれの28歳。大分県杵築市出身。杵築中では陸上競技部(中距離)。日出暘谷高で自転車競技を始め、鹿屋体大でも自転車競技部。2020年5月、117期ルーキーシリーズでデビュー(小倉、1、5、決勝3着)。7月の別府での本格デビューから3場所連続完全VでA級2班に特別昇班。22年1月にS級2班へ定期昇級。同年3月、高知のGⅢ施設整備等協賛競輪でS級初V。23年は9月に弥彦、12月に久留米でFⅠ優勝。24年は2月に前橋FⅠを優勝、4~6月には高知GⅢ開設記念、別府FⅠを2回、函館GⅢ、高松FⅠとV。7月には大分勢では23年ぶりの別府記念Vとなる4度目のGⅢ制覇を無傷4連勝で成し遂げた。通算346走130勝。通算取得賞金は1億880万6622円。ホームバンクは別府。師匠は山崎翼(95期)。174.1センチ、74.2キロ、A型。
――7月の別府記念優勝は23年ぶりに大分勢のV。地元で人気が出たんじゃないですか。
「ちょっと有名になったかも。その後に日出町の『ラーメン五九○(ごくまる)』さんに行ったら『阿部君ですよね』とサインを求められました。『高校のときから来ていたもんね』と覚えてくださっていて。日出暘谷高自転車競技部で同学年の高橋綜一郎(119期)や高橋優斗(121期)らと、たまに行っていたお店です」
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――その幼なじみの二人も、まだA級ですが成績は上向きです。
「一緒に練習していますが、やはり強くなっていますね。真面目にやっているので。でもまだまだこんなもんじゃないし、物足りない。もっと強くなってもらって、S級で連係したいという気持ちはあります」
――別府記念のあの歓声を一緒に受けたいですね。
「7月の記念で受けたあの歓声は忘れられませんね。優勝して、みんなで喜べたし。でもちょっと心残りがあるんですよ。翌日にインターハイのロードレースの手伝いがあったので打ち上げもなくて、みなさんに何もできなかったんです」
――それなら今回で。
「そうですね。加えて、今は来年のダービーの特選入りを目標にしているんです。1月末までの1年間の賞金27位までに入りたい。現状はボーダーより少し上ですが、かなり僅差。その上積みもしたい」
――別府記念の次は8月平塚GⅠオールスターを走って、2予敗退でした。
「オールスターは全員が、最初の3日間で2走。自分は初日は悪くなかったんですが、2走目は1日空いて3日目でした。相手関係もあるけど、休みが入ったことで2走目への気持ちの持って行き方がうまくいかなかった感じです」
――その次節の小松島FⅠは台風が接近しました。
「準決勝は1着だったし、強い佐々木悠葵さん(群馬)と決勝で戦えると思っていたけど、最終日が台風で中止。走りたかったですね」
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――さらには9月の宇都宮GⅡ共同通信社杯は病気欠場でした。
「出発前日に体調が悪くなりました。その前に3人の子どもが全員、マイコプラズマ肺炎になっていたんです。それが自分にもうつりました」
――肺炎とは大変。
「うつる前に風邪気味だったんですが、実はそれがむしろ良かったみたいで。元気な人ほど、ひどくなる病気だそうです」
――不思議ですね。とはいえ、きつかったでしょう。
「結構きつかったですね。寝込んで、10日ほど何もできませんでした」
――乳幼児のお子さん3人と、奥様はどんな感じでしたか。
「大人に比べると、子どもの方が軽症な病気のようです。それでも1週間くらい治らなかったし、ずっと機嫌が悪そうでした。そして妻には、結局うつらなかったんですよ。家族全員を看病してくれました。感謝しています。でも妻もその疲れで、その後に体調を崩しました」
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――前回の青森記念は病み上がりで、万全の準備とはいえなかったのでは。
「治ったと思って少し練習したら、また病状がひどくなって。そんな中で自転車のポジションを動かしたので、ますますおかしくなったんだと思います。それでも、やれそうかなと思って行くことにしました」
――青森は初めての競輪場でした。
「あまり飛行機が好きじゃないので、青森まで全部新幹線で行ってみたんですよ。行きも帰りも鉄道で10時間かかりました。帰って整体に行ったら『移動疲れですね』と言われました。次からは別の方法も考えます」
――競走での体調はどうでしたか。
「力が出なかったですね。初日は周回からきつかった。どっちみち調子が悪いなら先行しようと思って行ったけど、前を叩けなかった。日に日に体が動くようにはなったけど、あの調子で新山響平さんに勝てるはずがないですね」
――青森から帰ってきての練習の感触はどうですか。
「以前のポジションに全部戻してみたら、結構いい感じです。青森は体調もあるとは思いますが、セッティングの面も影響したと思います」
――それなら今回のGⅢは大丈夫ですよね。
「地元戦は気持ちの面が違いますし、大丈夫です。6月の函館GⅢでは、すごく応援してくれていた母方の祖父が前検日に亡くなって、それで気持ちが入りました。人気になるレースばかりでしたが、重圧に負けずに走り切れました」
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――今回もプレッシャーはかかりますね。
「前回以上に、多くの方から『期待している』『優勝してくれ』と言われます。期待に応えたいです」
――最後に今大会への意気込みを。
「7月の別府記念ではラインの力で優勝させてもらった。今回は決勝に九州勢が多く勝ち上がれるように、自分が引き連れていきたい。そして自分の力で勝ち切りたいです」