競輪

【熊本競輪・GⅢ開設記念】熊本競輪場復興を願い続けた深谷知広がV 通算400勝も達成

表彰式で、大阪・関西万博の「ミャクミャク」(左)、熊本競輪の「ファイ太」のマスコットに囲まれて笑顔の深谷知広

 熊本競輪のGⅢ開設74周年記念「大阪・関西万博協賛 火の国杯争奪戦」は6日、最終12Rで決勝を行い、BS6番手捲りを放った深谷知広が勝利した。2着は先行した町田太我マークから追い込んだ松浦悠士、3着は松浦後位の隅田洋介。人気の一角だった単騎の脇本雄太は最後方から追い込んだが、6着に終わった。4日間の総売上額は62億2229万2900円で、目標の52億円を大きく上回った。最終日は本場に3132人が訪れるなど、今年7月に再開した熊本競輪場での9年ぶりのGⅢは大いに盛り上がった。

■ヒーロー

 深谷が格好良く決めた。4日連続の自力戦。熊本競輪再開後の初記念の決勝で、人気の中国ラインを捲って粉砕。通算400勝目を達成してみせた。普段はクールに受け応えすることが多い深谷が、「うれしい」を連発した。

 レースは2番車。前受けした中国3車の後位を号砲直後に確保した。「いい位置が取れた。(坂井)洋が行ったとき、周りがどんな反応をするのか見ていた」と落ち着いて観察。最終バックで爆発的なパワーに点火。「踏み込んだときに、行けるなと手応えがあった。あおりやアクシデントに気をつけながら行った」。直線半ばで抜け出しを図る松浦を抜き去ると、ゴール直後もガッツポーズで声援に応えた。

 震災直後から熊本競輪の再開を願って活動。トークショーで熊本を訪れ、フレームをオークションに出して復興資金に寄付するなど、「少しでも力になれたら」と協力を惜しまなかった。11年ぶりに参戦する熊本バンクを「あっせんが出たときから楽しみだった。走れるだけでうれしかった。どんな優勝もうれしいけど、熊本を走っての優勝はうれしい」。観客席からは地元勢への声援に交じって、深谷への呼びかけも多く響いた。「覚えてくれてうれしい。少しの力にはなれたのかなと実感が得られました」と感無量の様子だった。

 17日からのGⅠ寬仁親王牌へ向けて「日にちはないけれど、やれることをやる。一戦一戦、勝てるように頑張るだけ」。この優勝で賞金も10位までアップ。年末の地元GP出走へ、〝怪物〟が加速してきた。(野口雅洋)

プロフィル
 ◆深谷知広(ふかや・ともひろ)1990年1月3日生まれの34歳。愛知県安城市出身。桜丘高時代から自転車競技で活躍。愛知支部96期で2009年7月に豊橋でデビュー。史上最速GⅠ初優勝や史上最速S級特別昇級など数々の記録を打ち立て、ついた異名は「平成の怪物」。17年からは自転車競技のナショナルチームのメンバーとして国際大会でも活躍。21年1月に静岡支部に移籍。ホームバンクは静岡。通算成績は1021走400勝、優勝52回。師匠は金子貴志(愛知・75期)。169.8センチ、79.0キロ、B型。

決勝VTR
 中川誠一郎らも前を狙って出たが、1番車の松浦悠士がS取り。町田太我―松浦―隅田洋介の中国勢が前受け。その後ろは深谷知広―阿部拓真(東日本)、単騎の坂井洋、嘉永泰斗―中川、単騎の脇本雄太で周回。

 町田が誘導と車間を切ったため突っ張り先行もありそうだったが、赤板で熊本勢が勢いよく切りにいって抑える。だが町田がすかさず赤板2角で抑え返し、中国、熊本、東日本、坂井、脇本で打鐘。

 終HSで坂井がカマして進出したが、松浦のけん制を受けてBSで失速。それを見た嘉永が2角捲りを放ったが、隅田の横までで車が伸びず。嘉永を目標にBSで外を踏んだ深谷は、嘉永の上を乗り越えて、直線伸ばしてV。4角まで町田をマークしていた松浦はゴール前で抜かれて2着。松浦後位の隅田が3着。

表彰式を終えて、ガッツポーズで敢闘門へ引き揚げる深谷知広

 

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