競輪

【小倉競輪(ナイター)GⅠ競輪祭】眞杉匠 特別インタビュー 関東の若きエース「連覇果たしグランプリへ」/11月19日開幕

 今年最後のGⅠが、今年も小倉競輪場(北九州市小倉北区)を舞台に19日から争われる。6日制ナイターで男子108人が戦う「第66回朝日新聞社杯競輪祭」(優勝賞金4790万円)と、ガールズ28人が3夜にわたって覇を競う「第2回競輪祭女子王座戦」(同540万円)。静岡競輪場で年末に行われる「KEIRINグランプリ2024」(同1億4000万円)と「ガールズグランプリ2024」(同1430万円)の出場権を巡り、優勝争いとともに賞金争いにも注目が集まる。昨年、競輪祭で2度目のGⅠ制覇を果たした関東の若きエース・眞杉匠(栃木)に、連覇への意気込みを聞いた。またガールズは、佐藤水菜(神奈川)太田りゆ(埼玉)梅川風子(東京)のパリ五輪出場組を含むナショナルチーム勢が、今年のGⅠに初参加。激戦必至の大会を展望した。

地元の宇都宮での開催となった9月のGⅡ共同通信社杯競輪を制した眞杉匠

◆眞杉匠(ますぎ・たくみ)
 1999年2月1日生まれ。宇都宮市出身の25歳。作新学院高卒。113期として日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)に入り、2018年7月函館でデビュー(1着、1着、決勝3着)。ホームバンクは宇都宮。師匠は高校の先輩の小田倉勇二(埼玉・91期)。23年8月の西武園GⅠオールスターで初タイトル、同年GPに初出場し3着。GⅡを2V(24年7月松戸サマーナイトフェスティバル、同年9月宇都宮共同通信社杯)。GⅢは4V(22年3月名古屋記念、同7月小松島記念、23年5月宇都宮記念、24年4月西武園記念)。通算成績は546戦214勝、優勝28回、通算獲得賞金3億9177万6474円(11月12日現在)。175.6センチ、76キロ、A型。

 ――昨年はGⅠを2回優勝。今年は初めてS級S班での戦いですが、意識は昨年と違いますか。

 「特に変わりないですね。ただ、最初のオールスターは吉田拓矢さんが前で駆けてくれて、取らせてもらったもの。今度は自分がラインに恩返ししたいという思いは強くなりました」

 ――昨年の競輪祭決勝は単騎戦でした。

 「単騎だし、気楽に走れた面はあります。そんなに調子が良かったわけではないんですけどね」

【写真左】2023年8月、西武園でのオールスターでGⅠ初Vを飾った眞杉匠【写真右】昨年11月、小倉での競輪祭決勝でゴール後にガッツポーズする眞杉匠

 ――昨年末のグランプリは3着。

 「あのときは体の調子が良くて、緊張もゼロでしたね。レースが近づいてきたら緊張するのかなと思っていたけど、競輪場に入っても、それこそ発走機に着いても全く感じませんでした。賞金もすごいし、楽しみしかない感じで走れました。でも最高峰のメンバーなので、みんな隙がなかったですね」

 ――今年は、出だしから厳しい状況になりました。

 「昨年12月30日のグランプリが終わってすぐ、それこそ今年の元日からインフルエンザで体調を崩しました。それで年頭初戦の大宮記念を欠場。治って復帰しようと練習している最中に今度は落車しました」

 ――1月10日、GⅠ2Vの祝勝会が開かれましたが、左手をつっての登場でした。

 「左鎖骨などを折ったのが祝勝会前日。今年は厳しい戦いになるなと思いました」

 ――その影響か、前半戦はあまり活躍が目立たなかった印象です。

 「2月のGⅠ全日本選抜から復帰したんですが、思い通りの走りはできませんでした。ある意味それは今でもそうなんですけど、特に上半期はダメダメでしたね。ビッグレースの決勝に乗れなかったし、GⅢでも準決で大敗することが多かった」

 ――どのように乗り越えようとしましたか。

 「焦ってもいいことはないので、やれることをやっていこうと思いました。それでSSから落ちることになってもそれが実力だと思うし、また目指せばいいので、焦りはなかったですね」

7月の松戸GⅡサマーナイトフェスティバルで優勝した眞杉匠

 ――7月、松戸サマーナイトフェスティバルでGⅡ初優勝。

 「6月に鎖骨骨折のワイヤを抜いて、それで少し上向きました。それまでは、体の使い方がうまくいかなかった。それでもやれることをやろうと思って、ヨコもやりながら自在に動くようになったんです。その中で得られたものはありますね」

 ――タテ脚だけではない部分を磨けたんですね。

 「そうですね。いろいろと勉強になりました。でもそうしたら今度は、駆ける距離が短くなってしまった。先行が減って、本来の走りから遠ざかってしまったんです。でもこれは、時間をかけてレースの中で戻していくしかない。それで今は、長い距離を駆けるレースを意識的に増やしています」

 ――これで先行力が戻れば、今まで以上の強さになりますね。

 「そう思います。昨年できなかったことで、今年できるようになったことは多い。以前は先行できなかったとき、自分の形にならなかったときに大きな着を取っていました。なので、どんな状況にも対応できる力を身に付けたかった。まだまだですけど。脇本雄太さんくらい脚があって、古性優作さんくらいヨコができたら、簡単には負けませんよね」

 ――それだと競輪界の頂点を極めることになります。

 「神山雄一郎さんはGⅠを16回優勝。最終的に目指すところは、同県の偉大なその先輩です。自分はまだ2回だし、もっと上を目指さないといけません。それに、神山さんはグランプリを取っていないので、そこは『お先に』といきたいですね」

今年2月の「2023年優秀選手表彰式典」で登壇する優秀選手賞の眞杉匠(右から2人目)

 ――地元の宇都宮で行われた9月のGⅡ共同通信社杯で優勝しました。

 「地元だからと関係なく、どんな開催もいつも通りにやっています。街道練習を今年あまりできていなかったので、8月のオールスターが終わってから街道練習をやり始めました。街道の重さでトルク感が出てきました。優勝は運もありましたね」

 ――その開催中にセッティングが出たと言っていました。

 「それまでなかなかセッティングが決まらなくて、ずっと毎回、自転車をいじっていました。それが準決ですごくいい感じになったんです。そこからはほとんど触っていません。戦う上で、これはデカいですね」

 ――共同通信社杯には神山雄一郎さんも出場。アドバイスを受けたそうですね。

 「レースのことというより、普段の心構えや練習への取り組み方といったところですね。神山さんは、普段から本当にすごいんですよ」

 ――直前の四日市記念は二次予選で失格でした。

 「申し訳ないです。でも初日特選は1着が取れたし、感触はいつも通りでした。2日目は内容のある走りをしようと思って突っ張り先行をしたんですが、ペース配分がうまくいかなかった感じです。実戦で先行を重ねて修正していきます」

 ――連覇の懸かるGⅠ競輪祭が近づいてきました。賞金6位と、GP出走へ有利な位置で迎えます。

 「とはいえまだ確定ではないので、やはりGⅠを取ってグランプリ出場を決めたいです。小倉は軽いし、先行が有利な走路。好きなバンクですけど、逆を言えば先行できなかったときは苦しくなるし、自分にだけ軽いわけではない。しっかりとレースの流れに対応しながら、優勝をつかみ取りたいです」

<関連記事>GI「第2回競輪祭女子王座戦」総展望

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