【静岡競輪・KEIRINグランプリ】古性優作が脇本雄太マークから差し切りV、年間賞金は3.8億円
一年を締めくくる一発勝負のビックレース、GP「KEIRINグランプリ2024」は30日、静岡競輪場で行われ、打鐘カマシの脇本雄太をマークした古性優作(33)=大阪・100期・SS=が直線で差し切り、2度目の大会制覇を成し遂げた。古性は賞金1億4000万円を加算して年間獲得賞金額を3億8311万5596円とし、脇本が持っていた3億584万2300円の記録を更新した。終始、古性後位にいた単騎の清水裕友が2着、脇本が3着。グランプリシリーズ3日間の総売上額は142億1483万3700円(目標145億円)だった。
■ヒーロー
優勝賞金1億4000万円を懸けた究極の戦いは、最強のオールラウンダー古性が手にした。「脇本さんのおかげで優勝できてうれしい」と素直な反応だったが、それも慣れた感じ。「ダブルグランドスラムが目標」と常々口にしている屈強な男は、グランプリも2度目の制覇。「これで日本選手権と競輪祭を2個ずつ取れば、全部2個ずつ」。とてつもない高みへと上り続けている。
レースは古性が巧みに出て中団からの周回。「理想の初手の位置を取った。あの並び、あの叩き方なら脇本さんは『そこで勝負する』と言っていて、ほんと作戦どおりでした」。大事なレースで何度もタッグを組んできた二人の息はぴったり。「打鐘で清水君が後ろにいるのは分かったので、ヤバいなと思った。でも脇本さんの掛かりが抜群。終HSから2角まで自分も勝手に口が開いていくくらい。これは誰も来られへんと確信した」と全幅の信頼を置いて追走した。
脇本の状態もピークだったが、「僕も29日夕方の指定練習で、久々に仕上がったと感じた。今年一番いいなという感じはあった。走る前から楽しみだった」と前後ともに抜群の出来。北井佑季が掛からず粉砕した南関や、その後方に置かれた関東勢には出る幕さえなかった。
昨年のMVPが今年も大活躍した。来年は胸に「KING of KEIRIN」の文字が刻まれた新しいチャンピオンユニホームに身を包み、まさにキングとして君臨する。窓場千加頼や寺崎浩平など、ビッグレースで通用する自力型も育ってきた。古性の、近畿の牙城を崩す選手、地区が出てくるのか。来年の競輪界の注目点はそこに尽きる。(野口雅洋)
◆古性優作(こしょう・ゆうさく)1991年2月22日生まれの33歳。大阪市出身。清風高卒。2011年7月、大阪支部100期でデビュー(岸和田=1、1、決勝1着)。通算成績は1093戦347勝、優勝46回。ビッグレース制覇は、GP2回(21、24年)。GⅠ8回(オールスター=21、24年、全日本選抜=22、23年、高松宮記念杯=22、23年、寛仁親王牌=23、24年)。21、23年の最優秀選手。24年はオールスターファン投票で初の1位。通算獲得賞金12億8094万8096円。168センチ、77キロ、O型。
【グランプリVTR】
Sでは3枠までと清水が勢いよく出るが、古性は平原を前に出して近畿は中段取り、清水は古性後位へ。眞杉―平原、脇本―古性、清水、北井―郡司―岩本、新山で周回。
赤板で北井が上昇して前を切るも、そこからスピードを上げなかったことで眞杉は3番手の岩本の内で粘る形。それを見た脇本は、打鐘前からカマして北井を叩き鐘3角先頭。鐘4角では清水まで3車が出切る。やや遅れた新山も追い上げて終HSで4番手に入る。
郡司は北井を見切って5番手に追い上げ、岩本をさばいた眞杉も最終バック6番手へ上昇。しかし脇本の掛かりが抜群で誰も仕掛けられず4角へ。古性が脇本を差して先頭ゴール。追った清水が逃げた脇本をわずかに抜いて2着。