競輪

【岸和田競輪・GⅠ高松宮記念杯】古性優作 落車乗り越え感涙の連覇

表彰式のインタビューで感極まり、涙を拭うタオルを取り出す古性優作

 岸和田競輪で6日間にわたって熱戦を繰り広げたGⅠ「大阪・関西万博協賛 第74回高松宮記念杯」(優勝賞金4590万円)は18日の最終12Rで決勝を行い、古性優作(32)=大阪・100期・SS=が大会連覇。突っ張り先行した脇本雄太マークから差し切った。2着は直線で中を伸びた佐藤慎太郎、3着は古性後位の稲川翔。人気の脇本雄太は6着で、3連単は3万7340円の高配当だった。6日間の総売上額は116億5573万8900円(目標125億円)だった。

■ヒーロー■
 バンク内で行われた表彰式で大勢の地元ファンから祝福の声が飛ぶと、古性の目から涙があふれた。タオルで目を拭いながら「初日、お客さんに迷惑をかけてしまって、最後に何とか勝てて良かったです」。地元でのGⅠ連覇に感極まりながら「これだけのお客さんの前でできたのもうれしいし、300勝できたのもうれしい」と声を絞り出した。5度目のG1制覇で節目の勝利にも到達。初日の落車(再入8着)からのドラマチックなVに、地元ファンも酔いしれた。

 「前検日は状態が良かった」。しかし初日の落車で、「考えてもいなかったスタート。精神的に崖っぷちに立った」と追い詰められた。2日目の勝利で1予を突破したが、体調は「正直、日に日に状態が悪くなっていった」と一向に上向くことはないまま、決勝日を迎えた。

 レースは脇本が赤板で突っ張り先行。「いつも通りに作戦はなかった。新山君が抑えに来るのが遅かったので脇本さんのスイッチが入った。突っ張っていったんで驚いた」。脇本が誰も出させず風を切ったことで、古性が恵まれた。「脇本さんと稲川さんのおかげ」とラインに感謝。だが、「勝ち上がりの中で、精神的強さを自分で感じた」と、ピンチを打開していく力を持ち合わせている自分自身を発見。「まだまだ頑張れるかなと思う。調整をしていけばグランプリに合うというわけではないので、目の前のレースを妥協することなく走っていく」。GⅠを5度、GPも1度制している猛者は、まだまだ勲章を増やしていくはずだ。(野口雅洋)

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■プロフィル■
 古性優作(こしょう・ゆうさく)1991年2月22日生まれの32歳。大阪市出身。清風高卒。2011年7月、大阪支部100期でデビュー(岸和田=1、1、決勝1着)。通算成績は983走で300勝、優勝36回。ビッグレース制覇は21年GP(静岡)、GⅠは5V(オールスター=21年いわき平、全日本選抜=22年取手、23年高知、高松宮記念杯=22、23年、ともに岸和田)。GⅢは6V。通算取得賞金は7億8412万4500円。168センチ、77キロ、太もも62センチ、O型。

■決勝戦VTR■
 脇本が前を取らされる形で出て、脇本―古性―稲川、松浦―山田、松井―郡司、新山―佐藤で周回。
 赤板前の3半から新山が前を抑えに進出し始めたが、赤板ではまだ3番手の外。それを見た脇本は赤板で突っ張り、切れなかった新山は打鐘前2角で下げ始めた。
 打鐘では佐藤が南関の前で下りて新山を迎え入れ、新山は鐘3半で6番手確保。4番手の松浦が2角過ぎに捲って出たが、古性が3角でブロックし、松浦は内の稲川と並走。古性は4角で先頭の脇本に並びかけ、そのまま追い込んでVゴール。準Vだった佐藤は、3角で外を踏んだ新山に対し、内を進出して稲川後位に取り付き、直線の入り口で稲川が松浦を外に追い払った隙を突き、2着まで伸ばした。稲川は佐藤に1/4車輪差の3着。

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