【九州王国再興へ】英明 復活ののろし 【前橋】
山田英明が九州勢の一番星だ。初日3R、山田英明が捲りを決めて勝利した。「自分はしっかり位置取りしないと勝てない」と、前受けから一度突っ張って中団4番手をがっちりキープ。真骨頂を見せて、番手の小川勇介も3着に連れ込んだ。
今年は2月のG1全日本選抜での落車で骨盤骨折。初めての大きなケガに、低調期が続いている。だが「経過検査は良好でした。まだ完全に治ったわけではないけど順調です」。前回の防府F1では準決7着敗退。前検日には「ケガはもう言い訳にならない。ここからまたグランプリを目指して気合を入れ直して戦います」と口元キリリ。復活を予感させていた。
直前に納入された新車をぶっつけで投入した。「伸びを重視したフレームをビルダーさんに頼んでいた。新車や新シューズで調子がグッと良くなることがあるんですよ。それで前橋に送りました。たまたま捲りが出た感じだが、悪くない」。2年前の大会では当地で決勝に進み、弟の庸平と初連係した。弟は初日、特選11Rで落車し再入8着。2予Bの7Rに出走する。再び決勝で結束するまで、ともに負けられない。
特選10Rでは長崎の新旧アスリートがワンツー。準決切符を得た。山崎賢人が赤板で先行態勢に入った太田竜馬-小倉竜二の3番手に追い上げて位置を確保。誰も仕掛けてこないのを見極めて、終2角まで待って捲りを放った。18日にトラック競技の世界選手権から帰国したばかり。「前検日の夜早くに寝てしまって、そのまま12時間くらい眠りました。それで時差ぼけがなくなって、体は楽でした」。フランスから帰国して48時間もたたない中で“駆けつけ1勝”だ。マークした井上昌己は「賢人のケツがデカくなっていたし、強くなっているだろうと緊張しました」。アテネ五輪チームスプリントの銀メダリストも、約4カ月ぶりの連係成功にホッとした表情を浮かべた。「競輪選手の走りをしてくれた」と、個人競技の選手ではなく、ラインで決める攻めに感謝。先月の名古屋G2共同通信社杯に続くビッグ準決進出を喜んでいた。