脇本が初頂点!年間3億円突破 KEIRINグランプリ 【平塚】

平塚競輪の「KEIRINグランプリ2022シリーズ」は最終日の30日、オーラスの11RでGP「KEIRINグランプリ2022」(優勝賞金1億2380万円)があり、脇本雄太(33)=福井・94期・SS=が鐘3角8番手から北日本勢を豪快に捲って押し切り。4度目の出場で初の頂点に輝くと同時に、公営競技史上初の年間獲得賞金3億円超えを達成した。連覇を狙った古性優作は脇本追走から詰め寄るも4分の1輪差で2着。脇本-古性の近畿勢に切り替えて追い込んだ地元の郡司浩平が3着だった。GPシリーズ3日間の車券売上額は131億3355万円で、目標の130億円をクリアした。
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史上最強を証明した。脇本が、公営競技界初の年間賞金3億円を達成。4度目の頂上決戦で、名実ともにトップの座に就いた。
8番手からカマシての自力V。昨年の覇者・古性をも振り切った。号砲では北日本4車が前受け。ただし松浦が序盤の周回から新田と並走する波乱含みの流れ。脇本は8番手でじっくり仕掛けるタイミングを待った。「これは僕にもチャンスがあるな…」。だが同時に、「緊張して手が震えてきた。郡司君が横に振ってきたらどうしようなど、不安なことは多かった」とも感じていた。
それを拭い去ったのが2度の五輪を戦い抜いてきた精神力。「メンタルの部分で、オリンピックの経験が生きている」。競技を通して世界を相手にしてきた男は、鐘3角で勇気を持って踏み込んだ。直線では郡司を乗り越え、2角では番手捲りの新田をのみ込み先頭。「ハンドルを投げる瞬間まで勝ったとは思わなかった。古性君も自分も、お互い感動して声も出なかった」。近畿ワンツーという最高の結末を勝ち取った。
賞金3億円到達に、「記録を作れたことは誇りに思いたい」。今年はS級21連勝、オールスター5戦全勝の完全Vなど記録多数。まさに敵なし。誰よりも王者にふさわしい最強レーサーが、来年はチャンピオンジャージーを着る。「責任のある立ち位置になるが、果たしたい」。近畿地区を引っ張り続けてきた“先行日本一”の村上義弘氏が、この秋引退。その魂を受け継ぎ、競輪界の大黒柱として豪脚を振るう。 (野口雅洋)