パリ五輪で金メダルを目指して 自転車・今村駿介が目指すキャリアの更新「経歴をアップデートしたい」

自転車のトラック種目で活躍する今村駿介(ブリヂストン)=福岡県うきは市出身=が来年のパリ五輪での金メダルという目標に向けて突き進んでいる。世界の舞台で飛躍を目指す24歳は、五輪イヤーの前年となる2023年をステップアップへの土台づくりと位置付けるとともに、今年10月に九州3県で初めて開催される国際自転車ロードレース「ツール・ド・九州2023」への期待も示した。
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世界のトップにこぎ出すための大切な時期となる。今村は「この1年は勝てる力をつけたいので、すべてにおいて自分を強化したい。苦しい年になると思う」と精神を研ぎ澄ませた。福岡で育ったホープは、2023年を勝負の年に見据えて走り始めた。
競輪選手だった父への憧れを胸に秘め、中学時代までは陸上に取り組み、福岡・祐誠高で本格的に競技を始めた。猛練習で才能が開花し、3年時の15年にはジュニアトラック世界選手権の男子個人ポイントレースで優勝。順調にキャリアを積み重ねた。
21年の東京五輪では代表チームのサポートメンバーだった。「パリに出るためには何をしないといけないか。悔しさもあったけど、気持ちを切り替えて考えた」。間近で大舞台を感じたことで、世界との距離感も肌で感じた。昨秋の世界選手権では男子オムニアムで6位。「持っている力を出して、自分の現在地を知ることができた」と手応えを示した。
世界を転戦する過酷なシーズンを終え、オフになると、帰省して故郷の空気を吸ってリフレッシュする。祐誠高時代の恩師で現在も同校を指導する野田豊監督に頼まれると、練習場に顔を出して後輩にアドバイス。「ここで指導してもらったことで、今の自分がある。いつかはライバルになる子たちかもしれないけど、経験を還元したい」と笑う。
そんな愛する故郷九州を舞台にした「ツール・ド・九州2023」が10月に開催される。出身地のうきは市もコースの一部となった。「自転車界が盛り上がる大きなレースができることはうれしい。九州がクローズアップされるし、間近で見れば自転車競技の魅力、かっこよさが伝わるはず」と期待を寄せる。
世界の頂点に立つ喜びを知って8年。「ジュニアの王者という経歴をアップデートさせたい。そこに行き着くまでの過程は大事だが、残るのは結果だから」。24年の開花に向け、激しい追い込みをかける一年がスタートした。(松田達也)
◆今村駿介(いまむら・しゅんすけ)1998年2月14日生まれ。福岡・祐誠高から自転車競技を始め、中大では2016、17年に男子3万メートルポイントレースで全日本選手権連覇を達成。18年にブリヂストンに加入。