【別府競輪・GⅢ開設記念】阿部将大 特別インタビュー 3児の新米パパ 強豪他地区勢を撃破だ
豊後の若大将が、風を切り裂く。別府競輪(大分県別府市)のGⅢ開設73周年記念「オランダ王国友好杯」が12月7日、幕を開ける。12月30日の競輪グランプリ(立川、優勝賞金1億3700万円)に出場する松浦悠士(広島)らS級S班も参戦予定で、激戦必至だ。地元の阿部将大は大会初登場。昨年、S級昇級後わずか2カ月でGⅢを制した大分期待の星は、直前の久留米FⅠを含めて今年S級を2度優勝。阿部に大会への意気込みを聞いた。
◆阿部将大(あべ・まさひろ)
1996年6月14日生まれの27歳。大分県杵築市出身。杵築中では陸上競技部(中距離)。日出暘谷高で自転車競技を始め、2014年の長崎国体ケイリン(少年)優勝など好成績を残した。鹿屋体大でも自転車競技部。日本競輪選手養成所に117回生で入り、2020年5月29日の小倉ルーキーシリーズでデビュー(決勝3着)。7月の別府での本格デビューから3場所連続完全VでA級2班に特別昇班。22年1月にS級へ昇級。S級初優勝は昇級2カ月後のGⅢ「第3回施設整備等協賛競輪・土佐水木賞」(高知)。同年、7月GⅡサマーナイトフェスティバル(玉野)、11月GⅠ競輪祭(小倉)に出場。23年は9月にFⅠ優勝を飾り、12月1日に久留米FⅠでも優勝。GⅠにも5月日本選手権競輪(平塚)、10月寛仁親王牌(弥彦)と2度出場。通算280走106勝(12月1日現在)。ホームバンクは別府、師匠は山崎翼(95期)。174.1センチ、74キロ、A型。
―初めての地元記念が迫ってきました。
「もちろん気持ちは入っています。ただ、気にし過ぎると変なことをしてしまいそうで、普段とあまり変わらず過ごすようにしています」
―GⅢはFⅠの7車立てと違って、9車立てです。
「7車より9車の方が好きです。9車だと流れができる。自分はスピードが乗ったところから動くのが得意なので」
―昨年はGⅢ優勝、今年は直前の久留米も含めてFⅠ2Vと結果を残してきています。
「昨年は調子が良かったですね。自転車が進んでいました。今はそこまでしっくりきていません。でもその割には競走得点をキープできているし、感覚が上がってくればさらに上も目指せると感じています。ステップアップできている感じはありますね」
―117期には九州期待の若手選手が大勢います。
「九州他県に強い同期がたくさんいるし、刺激を求めて出稽古に行くことも考えています。もちろんみんなライバルですが、連係すると心強い。同期で同学年の松岡辰泰君(熊本)らとは、調子がいい方が前を走るなど前後を入れ替えて走っています。松岡君は今回も参加するので、連係できればいいですね」
―同学年といえば、高橋綜一郎選手(大分119期)、高橋優斗選手(大分121期)とは幼なじみ。
「小学校からずっと一緒。高校で自転車競技をやるなんて誰も言っていなかったのに、部に入ってみたら同学年6人のうちの3人でした」
―今でも練習仲間ですね。
「大学はバラバラでしたが、結局みんな大分で競輪選手になった。綜一郎も優斗もまだA級ですけれど、徐々に力をつけていて強くなっています。不思議な縁ですし、切磋琢磨(せっさたくま)してみんなで強くなっていきたいです」
―自転車を始めたきっかけは?
「少年野球のコーチに勧められました。兄が卓球部だったので自分も卓球をしようと思っていたんですが、『卓球より競輪選手の方がいいぞ』と言われて。小5くらいで競輪選手を考えるようになりました」
―中学では陸上競技部。
「競輪への基礎体力をつけるために陸上をやりました。800~3000メートルの中距離が中心。競輪と800メートルで、きつさが似ているんですよ。高いスピードを持続させるようなところが同じなんです。陸上競技をやったことが競輪にも役に立っていると思います」
―プライベートでは、11月9日に双子の女の子が生まれたそうですね。
「すごくかわいいですよ。上に1歳の男の子もいるんですけど、その子もかわいい盛り。一気に子どもが3人になったので、三つ子みたいなもんです」
―かわいいけど大変そう。
「自分の両親と、妻の両親と、両方がフォローしてくれるおかげで、競輪に打ち込めています。子どものためにも頑張らないといけませんし」
―初の地元記念も頑張りたいですね。
「まずは決勝に乗って、やはり優勝を目指したいですね。少なくとも、九州地区から優勝者が出るように頑張りたい」
―ただし、他地区からはS級S班も参加する豪華メンバーです。
「上を目指すなら、相手がSSだろうと何だろうと、いつかどこかで必ず倒していかなければいけない。地元の皆さんの声援を力に変えて、勝ち進みたいです」