【立川競輪・グランプリシリーズ】太田海也がヤングGP優勝、メダルもGⅠも射程圏の豪脚
■ヒーロー
太田海也がすさまじいパワーを見せつけた。中四国の先輩・犬伏湧也を叩き切っての衝撃的な押し切り。パリ五輪を目指す日本のエースにふさわしい走りだった。
打鐘前に踏み上げた吉田有希ら茨城勢に、先に襲いかかったのは前々に攻めていた犬伏だった。だが鐘3角から前を追った太田の前に、今年GⅠ決勝3回の犬伏でさえ脇役となった。壮絶なもがき合いを終BSで制すると、勢いは衰えることなく11秒8の上がりでゴール。栄光を手にした。「強いメンバーの中で、自分の一番いい脚力の出し方ができた」と、誰もが否定しようのない強さを披露して胸を張った。「犬伏さんの前に出るのが自分の仕事」とすかさず仕掛けた。「1、2角で犬伏さんと目が合った。出切れると思わなかったが、力と力をぶつけ合わすしかない。自力選手として譲れないと思った。この優勝は自信になる」とプライドを懸けての戦いを制した。
来年は、8月のパリ五輪での活躍が大目標。「種目はスプリントが得意。メダルが取れる選手を目指す」と若武者は意気軒昂だ。競輪出走は五輪まではあまり機会がなさそうだが、「GⅠで活躍して、タイトルを取れる選手になりたい」と抱負を口にした。ヤンググランプリ優勝者は、その後にタイトルに恵まれないことが多い。海老根恵太(2004年)、山崎芳仁(05年)、深谷知広(10年)とタイトルホルダーもいるが、それ以降の優勝者はGⅠを勝てていない。だが今年のウイナーは本物。将来、間違いなく日本の競輪界を背負って立つ。誰もがそう確信する走りを見せてくれた。(野口雅洋)
◆太田海也(おおた・かいや)1999年7月27日生まれの24歳。岡山市出身、備前緑陽高ではボート競技で活躍し、大学時代(日大中退)に自転車転向。121期として日本競輪選手養成所に入り、中野慎詞とともに早期卒業を果たして22年1月、小倉でデビュー(①①❶)。通算成績は66戦45勝、優勝10回。グレードレース優勝はGⅡヤンググランプリ(23年12月、立川)。師匠は藤田昌宏(82期)。174センチ、78キロ、O型。