【立川競輪・グランプリシリーズ】佐藤水菜が圧倒Vで初の女王
佐藤水菜が、名実ともにガールズ界のトップに立った。自転車競技のナショナルチームでの活動が主軸ながら、今年はわずか18走で賞金女王。日本の自転車女王として、文句なしの結果を残した。
号砲直後から、終始3番手でレースを進めた。前を走る吉川美穂、尾方真生を射程圏に置きながらも、後位の4人の動きを鋭い眼光でたびたびチェック。「誰が来ても対応できるようにしていた」と、全員が〝ヘビににらまれたカエル〟のように動けないまま残り半周。「この位置にいてもいいのかなというくらい、いい位置だった。前も射程圏内に入れていた」。BSで踏み上げると、11秒5の上がりで前の2人をあっさりのみ込んだ。終3角で勝負あり、の圧勝劇だった。
昨年は無念の落車。「現役中に、このタイトルは取れないかもしれない」とまで思い詰めた。「だからこそうれしい」。メンタルの弱さに悩むこともあったが、レース後は自信に満ちあふれた笑顔を見せた。
来年は五輪イヤー。競輪界初の金メダルも期待されるが、ガールズケイリンからは夏以降まで遠ざかることになるかもしれない。「世界とはまだ差があるが、パリオリンピックで金メダルを取って、ガールズケイリンに戻ってきたい」。来年は、今回の走りで驚いてはいけないほどの強さを見せてくれるはずだ。
◆佐藤水菜(さとう・みな)1998年12月7日生まれの25歳。神奈川県茅ケ崎市出身。県立茅ケ崎高卒。2018年7月、神奈川支部114期でデビュー(四日市①①❹)。通算成績は276走で196勝、優勝62回。特別レース制覇はGPガールズグランプリ(23年立川)、GⅠオールガールズクラシック(23年松戸)、ガールズコレクション4回(21年5月京王閣、21年8月いわき平アルテミス、22年8月西武園ドリーム、23年3月別府)、フェスティバル(22年7月玉野)。取得賞金は8623万2600円。ホームバンクは川崎。自転車競技女子エリート強化指定選手Aでもあり、21、22年のトラック世界選手権(ともにフランス)でケイリン銀、23年はネーションズCケイリンで2度の金(インドネシア、エジプト)、同年アジア選手権でケイリンとスプリントで金などトラック短距離で活躍している。師匠は對馬太陽(85期)。163センチ、59キロ、A型。