【クローズアップ】新山SS新参でも堂々 【高知】

頂点に君臨する男をガツンと叩いた。スタールビー賞の新山響平(29)=青森=は、鐘3半から先行態勢に入った脇本雄太ら近畿3車をすかさず追いかけ、終1角で先頭に躍り出た。GP覇者を沈めた走りに、「脇本さんに自分の競走をさせなかったのは収穫です。出るのに脚を使い過ぎて残っていなかったけど、あのまま持つくらいに仕上げたい」とニヤリ。6着に終わったが、新車のセッティングを試行錯誤している中で、ある程度の手応えを感じ取った。
今大会はS級S班として迎えた初めてのG1。持ち前の積極的な走りだけでなく、勝ち上がりも求められる立場だ。それでも「今年3回記念を走りましたが、そっちの方が緊張します。G1はみんな強いし、特に気にせず走れている。初日特選とスタールビー賞という、負けたら敗退という戦いじゃないからかもしれませんが…」。昨年の競輪祭決勝で、北日本4車の番手を自ら願い出た肝っ玉を持つ。“3億円男”脇本相手でも物怖じはない。
「ただ準決勝は大きな勝負。北井さん、犬伏君らの先行型がいる。その中で3車の厚みを生かせる走りを考えます」。デビュー8年目。持ち前のスピードだけでなく、クレバーな戦い方も身につけてきた。2016年度の平原康多、17年度の新田祐大、20年度の郡司浩平と、競輪祭を制した選手が勢いに乗って、年明けの全日本選抜を制するパターンも多い。「気持ちに余裕があるし、体もいい感じです」。また大きな仕事をするために、まずは自力で準決勝を突破する。