競輪

【武雄競輪・GⅢ万博協賛】立部楓真 特別インタビュー 自然と気合がみなぎる初の地元S級戦/3月28日開幕

 武雄競輪(佐賀県武雄市)の4日制GⅢ「第8回大阪・関西万博協賛競輪」が28日、開幕を迎える。S級S班こそ不在だが、高松のGⅢ開設記念に続けて四日市FⅠ、高知FⅠでも優勝と3連続V中の浅井康太(三重)に、GⅠで2Vの小倉竜二(徳島)、今月1日に佐世保FⅠで豪快な逃げ切りVを決めた町田太我(広島)など、ハイレベルなレーサーが遠征。九州勢は、地元佐賀のエース山田庸平が立ちはだかり、若手の松岡辰泰(熊本)、後藤大輝(福岡)らも元気。S級レーサーとして地元を走るのはこれが初めての若手先行型・立部楓真も気合十分で、意気込みを熱く語ってくれた。

 ◆立部楓真(たちべ・ふうま)1998年7月17日生まれの25歳。佐賀県有田町出身。有田工高では野球部。2019年7月、武雄でデビュー(3、5、1着)の115期・佐賀支部。22年1月にS級2班へ初昇級。半年でA級に降格したが、23年7月にS級2班へ復帰。さらに今年7月からは初めてS級1班へ昇班の見込み。優勝は14回を数えるが、S級ではまだない。通算成績は346走108勝(21日現在)。23年8月1日、通算100勝を達成した。師匠は古川貴之(93期)。ホームバンクは武雄。175センチ、85キロ、O型。

 

初めての地元S級戦

 ——いよいよ地元・武雄のGⅢに出走ですね。

 「S級で地元を走ること自体が初めてなんですよ。昨年の5月、A級で走って以来なので楽しみだし、頑張りたいです」

 ——武雄はこの冬は開催がありませんでした。

 「昨年11月から2月下旬まで設備改修のため練習でも使えなかったので、その間は佐世保バンクで練習させてもらっていました。もちろん佐世保でやって身になることも多かったんですが、武雄が使えるようになって、自分のやりたい練習をしっかりやれている感じがあります」

 ——最近の状態はどうですか。2月の落車の後に1場所欠場しましたが。

 「2月初めの静岡での落車は、ケガはひどくなくて、それは大丈夫でした。ただその直後にインフルエンザにかかってしまって調子を落としました。欠場もそれが理由です」

 ——3月初旬は玉野のGⅢ開設記念を走り5、9、2、3着。

 「インフル明けで、2日目までは全く自信がありませんでした。体調以上に、その自信のなさが走りに出てしまった感じです。3日目からの2走は開き直って走れました。内容は悪くなかったと思います」

7月には初のS1昇格

 ——静岡の落車では、失格にもなりました。

 「デビューして初めて失格。S級1班の点数が遠のいてしまいましたね(失格すると平均点からマイナスされる)。でもS2の点数はしっかり取っていけると思っています」

 ——来期(7月~)は初めてのS1ですね。

 「はい。S級に復帰した昨年の後期は、特に夏場に感じが良かったので点数も取れました」

 ——昨年8月、和歌山でのGⅢ万博協賛では決勝に進みました。

 「あのころは調子が良かったですね。今回も万博協賛ですし、縁起はいいかもしれません」

 ——高校時代は地元の有田工で野球に打ち込んだのですね。

 「甲子園には行けませんでした。2学年上の金ケ江勇気さん(111期)は行っているんですけど」

 ——高3の夏を終えて、競輪志望に転向ですか。

 「いいえ。就職することにしました。野球を続けるつもりはなくて、競輪も話は聞いて興味はあったのですが、迷いながらもという感じで選んだ道でした」

昨年8月、和歌山でのGⅢ「第6回大阪・関西万博協賛競輪」で決勝に進んだ立部楓真

2週間で辞めたサラリーマン

 ——サラリーマン生活はどうでしたか。

 「2週間で辞めてしまって、いろんな人に迷惑をかけました。兵庫県の会社だったんですが、夜行バスで帰ってきて、そのまま競輪場へ金ケ江さんに会いに行きました」

 ——競輪選手になる覚悟を決めて帰ってきたんですね。

 「はい。金ケ江さんや、師匠の古川貴之さん(93期)、大師匠の原司さん(70期)らに見てもらったおかげで、半年の練習で競輪学校(現・日本競輪選手養成所)に合格できました。運動センスとかあまりないので地道にやるタイプ。高校野球が終わってからは熱中するものがなかったんですが、自転車は自分で決心した道だし必死にやれましたね」

 ——デビュー2年半でS級に上がりました。

 「でも全然通用しなくて、その次期のS級点も取れていなかったので半年でA級に戻りました。甘くなかったですね」

昨年12月のGⅢ佐世保記念で競輪場入りし、長崎の同期・阪本和也(右)と会話する立部楓真。後方は長崎111期の平尾一晃

「庸平さんのおかげで強くなれた」

 ——そこからどう立て直したのですか。

 「A級に落ちたころ、荒井崇博さん(82期)=長崎、当時佐賀=に『庸平と一緒に練習したらいい』と言われて、山田庸平さん(94期)にお願いしに行きました。それからはバンクで一緒にやっています。成績が上がったのは庸平さんのおかげです」

 ——庸平選手は九州を代表する強い選手です。

 「なので、練習は必死でついて行っている感じです。でもいろいろアドバイスももらえるし、ありがたい。それに自分でも考えながら練習するようになりました。A級に落ちたときも、S級点を取るためのレースをするんじゃなくて、S級で勝てるようにやっていたつもりです」

 ——今回のGⅢは庸平選手も参加します。

 「まずは自分が勝ち上がらないと。連係できるかどうかは別として、自分も結果を残したい」

 ——意気込みをお願いします。

 「地元なので応援もあるだろうし、気合は勝手に入ると思います。まずは、しっかり準備して臨みたい。そして最低でも準決には上がりたいと思っています」

武雄の名勝・御船山をバックに健闘を誓う立部楓真
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