【飯塚オート(ナイター)GⅠ開設記念レース】荒尾聡 特別インタビュー/全ては子どもたちの憧れのために/12月13日開幕
「こんにちは、コンバット満です! 先日、双子の競輪選手をインタビューしたのに続き、今回はオートレース選手を直撃しました。静岡県出身の私、かつては浜松オートレース場をたびたび訪問。それほど、オートは大好きです。このたびインタビューしたのは、12月に飯塚オートレース場で開催されるGⅠ開設68周年記念レース(12月13~17日、ナイター、優勝賞金350万円)に出場する荒尾聡選手(43)=飯塚。オート界のためにと魂を燃やす熱い男に、地元バンクの伝統の一戦への意気込みなどを聞いてきました」
◆荒尾聡(あらお・さとし)=写真右
1981年6月28日生まれ。福岡県築上町出身。築上西高卒業。飯塚所属の27期として2001年4月に選手登録。02年に最優秀新人選手賞を受賞。07年の川口オールスターでSGを初制覇。通算優勝回数は75回(うちSGは5、GⅠは12、GⅡは11)。24年9月には史上31人目の通算1000勝を達成した。現ランクはS級5位。171センチ、57キロ、B型。
◆コンバット満(こんばっと・まん)=写真左
1969年8月14日生まれの55歳。静岡県島田市出身。福岡吉本の1期生として博多華丸・大吉、カンニング竹山らとともに芸能界にデビュー。福岡の人気番組だった「ドォーモ」のMCを務め、スポーツ番組、ラジオなど福岡を中心に多岐に活躍中。2022年3月に福岡吉本を退社し、現在はフリー。芸名の由来は自衛官出身の経歴から。174センチ、A型。
■〝昭和のレース〟でGⅡ優勝
――気付けば年の瀬。今年を振り返ってください。
「目立った成績は残せていないけど、安定した着順は拾えていますよ」
――私が一番インパクトを感じたレースを挙げていいですか? 荒尾選手が優勝した6月の伊勢崎のGⅡ稲妻賞の優勝戦。あのレースはすごかった。
「さばき合いだったあの優勝戦は〝昭和のオートレース〟。最近では見られないレースでしたね。今はみんな、バーッと抜け出しちゃうスピード決着がほとんどなので」
――でもあの伊勢崎は、荒尾選手がトップに立ってから、後ろの選手が次から次へと攻め込んできました。
「そうそう、入れ代わり立ち代わりでしたね」
――先頭を走っていて、後ろからの攻めは分かるものですか?
「伊勢崎と川口は大型ビジョンがあるけど、基本的には音と影で判断します。完璧なコース取りができたから、あのメンバーの攻勢をしのげたんだと思いますよ」
――走っている時にビジョンまで確認できる視野と動体視力にはびっくりです。
「見ている選手は結構多いですよ。後ろがどういう隊形なのか、何人いるのか、誰が来ているのかは確認しておかないと。それでもあの優勝戦は全く余裕はなかったです」
――最近だと10月の飯塚GⅡオーバルチャンピオンカップで惜しくも準V。中村雅人選手に抜かれました。
「雅人がうまかったし、走路状態に応じたセッティングができなかった自分も失敗していた。ぬれた走路がどこまで乾くかを読み切れなかった判断ミスですね。もう少し乾いた走路ならチャンスがあったかも…」
――勝っても負けても反省はするタイプですか。
「優勝のVTRは見ても1回だけ。2、3着のレースは何が駄目だったかなぁと思って何度も見ますね。今後に生かすための反省。レースでも結構、追い詰められた状況の方が好きなんですよ。勝負駆けは大好きです」
――プレッシャーに強くないと一流にはなれないですからねぇ。
「でも、ボートレースの池田浩二選手に『勝負駆けの場面は準備ができていない証拠。先にもっと余裕を持っておけよ』と言われたことがあって、確かにそれはそうだと思いましたね」
■プレゼントは子ども限定
――オートレースに懸ける思いはありますか。
「自分が子どものころ、『中村政信』(1990年代の飯塚のエース。レース中の事故で殉職)という選手を見てオートレーサーになりたいと思ったように、『荒尾みたいになりたい』という子どもが出てきてくれるのが一番うれしい。だから場内での投げ込みのプレゼントも子どもにしか渡しません。つなぎやバイクのデザインにもこだわるし、格好いいなと思われるポジションを作るために成績を残そうと思っています」
――この開設記念も、今年最後のGⅠですし、好成績を期待したいです。
「今年はなかなか地元でいいところを見せられていないんですよ。自分は飯塚に育ててもらって、ファンがどれだけ熱いかも分かっている。恩返しのつもりでしっかりと走りたい」
――しかも飯塚は大リニューアル中で、新スタンド完成まで有観客開催はしばらく行われないそうですね。
「無観客のミッドナイト開催はあるんですが…。地元の出走機会はしばらくなさそうなので、地元ファンに忘れられないよう、結果は残したいですね。それに選手はみんな、観客がいた方がむちゃくちゃテンションは上がります」
――地元GⅠは、ダイヤモンドは2021年に勝っていますが、開設記念になると13年が最後ですよ。
「えーっ、11年も前ですか。間が空き過ぎですね。とにかく強敵は多過ぎるけど、地元伝統の一戦なので力は一層入ります」
――最後にファンに一言お願いします。
「今はインターネットで車券が買えるけど、やっぱり本場に来てもらって、走るバイクのエンジンオイルの匂いなり、場内が盛り上がる雰囲気なりを感じてもらいたいですね。あとはスタンドからどんどん声を上げてほしい。ナイターの開設記念は消音マフラーなので、通常マフラーよりも聞こえやすいですから〝あらおーっ〟とか叫んでもらいたい。それに応えて、他の公営競技では感じられない迫力あるレースを必ずお見せします」