ボートレース

【びわこボート・GⅠ周年記念】馬場貴也 特別インタビュー/誇りと責任を持って2度目Vに挑戦/9月12日開幕

 68周年記念以来の地元タイトル奪還を目指す滋賀支部勢で、最も期待を背負うのが、その68周年の覇者である馬場貴也(40)だ。業界最高峰の一戦であるグランプリの常連で、2022年にはボートレース界のMVPにも選ばれた滋賀のエース。今年は本調子を欠きながらも、今大会直前のまるがめ(香川県)のSGメモリアルを制して賞金トップに浮上と、地力の高さを示している。GI初Vだった68周年記念から4年。大感激だったその優勝を振り返り、再びの制覇への思いを聞いた。

◆馬場貴也(ばば・よしや)
 1984年3月26日生まれ。京都市出身、東陵高卒業。登録番号4262。2003年11月にデビューの93期。18年11月、芦屋(福岡県)チャレンジカップでSG初制覇。そのVで年末のグランプリ(GP)初出場を果たして以来トップ戦線に定着。翌19年のGPにも出場し、シリーズ戦に回って2度目のSG制覇。GPは21年からも連続出場中で22年は準V。今大会直前にはまるがめ(香川県)のメモリアルを制し、SG通算は12優出5V。GIは2020年8月のびわこ周年で初制覇し、通算では35優出7V。167センチ、54キロ、A型。

 ――滋賀支部にとっての一大祭典が目前に迫りました。

 「地元ではSGの開催はなかなか巡ってこないので、その分、GIはしっかり盛り上げたいですね」

 ――気合もパンパンですか?

 「もちろん思い入れは強いので、以前は入れ込んだものでした。でも回数を重ねるうちに、自分の場合は入れ込みすぎると良くないことが分かりました。近年は、フラットな気持ちで臨むことを心がけています」

 ――その精神制御も功を奏して、4年前の68周年では優勝をつかみました。

 「コロナ禍のあの時は無観客でした。ファンの皆さまの前での優勝だったらもっと良かったですけど、一生忘れられない大会になりましたね」

 ――準優は1号艇でしたが、2着にとどまって優勝戦は5号艇。枠なり5コースから鮮やかなまくり差しでの優勝。

 「準優で2着に負けたときは『これはアカン』という反省ばかり。優勝戦は、1着か6着かの思い切ったターンをしようと覚悟を決めました。3コースだった君島秀三さん(同じ滋賀支部の先輩)が攻めたことで展開も向いて、思い通りのターンができました」

 ――ピットに引き揚げてすぐの優勝インタビューで涙する姿は感動ものでした。

 「本当にいろいろなものがこみ上げてきて…。GIより先にSGで勝った時も泣かなかったのに、GI初Vを地元で達成できたことがあの涙につながったのかな。先にSGで優勝したので『次はGIですね』とずっと言われながらなかなか勝てなくて、びわこで練習していたデビューからの日々の記憶もよみがえりました」

 ――うれし涙は初めてでしたか?

 「デビュー初V(2007年5月)もびわこで、ちょっと泣いてしまいました。やっぱり地元というのは違う感情が起きるのかなと思います」

 ――今回もまた感動のシーンが見たいです。

 「正直、苦しい戦いが続く今年の現状からだと、強気なコメントはできません。本当に調子が悪い。昨年の同じ時季のペラ調整をしても全く合ってくれなくて、自分の生命線の出足がつかない。気持ちよく走れていません」

まるがめのSGメモリアルを制してガッツポーズの馬場貴也

 ――それほど不調な中でも、5月の多摩川SGで準V、6月の住之江GIでは優勝、直前のまるがめSGでも優勝。賞金トップの座に就いています。

 「多摩川の準優勝も住之江の優勝もまるがめの優勝も本当にたまたま。流れの良さに助けられてのもので、まるがめで優勝する前の順位(5位)も、そんなに上にいたのかとびっくりでしたが、地元の周年にこれ以上ない流れで臨めるのは確か。グランプリに向けて、また気持ちを入れ直して頑張っていきたい」

 ――滋賀支部長として、レース以外の公務活動にも忙しそうですね。

 「支部長は18年7月からなので7年目に入りました。支部長に就いたことは自分にとってはものすごくプラス。任された以上は役割を全うしたいですし、代表としていい加減な姿は周りに見せられない。仕事への向き合い方も以前と変わりました。SGを勝てたのもこの役職に選んでもらったおかげだと思っています。キャプテンや委員長をよくやってきた?いえ、全然ないです。本当に“全然”です」

 ――ターンについて教えを請われれば、支部も問わずに応じる面倒見の良さもキャプテンっぽいです。

 「向上心があるから人に聞くのだろうし、その思いには答えてあげたい。それでうまくなってくれたら、僕のやっていることに間違いがないんだなと僕の自信にもつながるし、みんながうまくなってレースが面白くなっていけば、ファンの方も楽しんでくれるでしょう。そういういろいろな思いがあります」

 ――今大会への意気込みをお願いします。

 「調子は悪いけど、滋賀支部全員が優勝を目指す中、最後に僕が優勝できたら最高です。誇りと責任を持って一週間、ファンに楽しんでもらえるレースをして頑張りたいと思います」

 ――滋賀はレース以外にも見どころが多いそうですね。

 「紅葉の時季には三井寺のライトアップがきれい。春なら海津大崎の桜。夏なら琵琶湖の北の方で泳ぐのもいいですし、マイアミ浜のオートキャンプ場もとても楽しめます。結婚してから滋賀県民になりましたが、子育てにもいい環境で滋賀は本当にいいところだと実感しています。観戦がてら、滋賀に来てもらえたらうれしいですね」

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